2012年1月23日

医療機関での産業保健活動の実際


 医療機関においては様々な危険有害要因があり、組織として医療従事者の健康と安全を守る取り組みが求められる。
 医療機関での産業保健体制の構築のためには、まずは産業医を選任し、その時間を確保することから始める。また、様々な取り組みを行うにあたっては、院長や理事長が方針として「医療従事者の健康と安全を守ることが重要である」ことを明言することで対策がより効果的に行われることになる。
 講演では、医療機関での患者からの暴言や暴力対策、新型インフルエンザなどの感染症から守るための呼吸用防護具の適正、日本医師会の勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会の活動について報告した。
 患者からの暴言や暴力対策を進めるにあたっては、匿名の質問票調査などを院内で行い。現状を把握してから対策を行うことが進められる。しかしながら、近年職員間でのハラスメントなども課題となっており、同時に産業保健の観点からも対策を行うことが必要とする医療機関が少なくない。
 呼吸用防護具についてはN95マスク(レスピレーター)が新型インフルエンザなどにおいて使用することがあるが、フィットテストを行い十分にフィットすることを確認していなければ期待される効果は得られない。N95マスク(レスピレーター)を使用するがフィットテストをしたことがないという方はぜひこちらのビデオをインターネットでご覧いただきたい。URLhttp://www.youtube.com/user/fittest2009 Youtubeのサイトでフィットテストと検索するとアクセスが容易である。
 医師の健康についても特にメンタルヘルスが課題になっており、日本医師会のサイトにある医師の健康支援のための環境改善チェックリストなどを用いると一次予防のための対策を行うことができる(www.med.or.jp/kinmuよりダウンロード可能)
 医療機関での産業保健活動を進めるにあたっては賛同が得られず進めるのが困難なことも多いが、小さな事例を積み重ねていくことが重要である。

参考文献
1.医療機関での暴力対策
・和田耕治,三木明子,吉川徹(編著).医療機関における暴力対策ハンドブック,中外医学社, 2011
・相澤好治(監修),和田耕治(編著).病医院の暴言・暴力対策ハンドブック.メジカルビュー.2008
2.呼吸用防護具の適正使用
・和田耕治,吉川徹. 呼吸用防護具フィットテスト・トレーニングマニュアル,労働科学研究所出版部,2010.
3.東日本大震災の被災地における産業保健活動
・和田耕治,岩室紳也(編著)保健医療従事者が被災者と自分を守るためのポイント集.中外医学社,2011
4.     医療機関での産業保健活動
・相澤好治(監修),和田耕治(編著):医療機関での産業保健の手引き、
篠原出版新社,東京,2006.