電気・ガス・水道・電話などのインフラ復旧のために、現地の方だけでなく全国から作業者が集まります。こうした人々は、一刻も早い復旧を使命として、被災地やその周辺に泊まりこみ、数日から数週間の間、通常とは異なる労働環境と生活環境のもとで働きます。
復旧作業者が風邪・頭痛・不眠・便秘や下痢などを訴えたとき、疲労のサインかもしれません。疲労は、本人の健康を損ねて作業効率を悪くするばかりでなく、ミスや事故の原因にもなります。また、作業時間が長時間に及んだりすることは、ときに脳・心血管障害(脳梗塞、脳出血、心筋梗塞など)やストレス症状の引き金になりますので疲労の予防が重要です。
1. 作業の合間に充分な休憩がとれるよう、作業時間を調整します
作業者本人と、管理者(現場責任者や上司)の両方に、作業時間を確認します。1日の作業時間は12時間、1週間の作業時間は60時間を超えないようにします。昼休みなど、決められた食事や休憩の時間がとれているか確かめます。特に夏場は熱中症対策としてこまめな休憩が必要です。交代勤務の場合は、夜間勤務後の休暇(“明け“)をはさむなど、無理のないシフトになっていることを確認します。
滞在が2週間を超える場合、作業員の交代を検討します。またその際も1週間に最低1日は休みを確保します。また、復旧作業終了後には、休暇を取得させます。
2. 6時間以上の睡眠を確保します
6時間以上の睡眠を毎日とります。アルコールやカフェインは、睡眠の質を低下させます。アルコールは、適量飲酒(1日あたり缶ビールなら500mlまで・全く飲酒しない日を週2日以上設ける)とします。深夜勤務の場合、交替で1時間程度の仮眠をとることで、疲労を和らげ、作業中の眠気を防ぎます。
3. 設備の整った快適な宿泊施設を提供します
安心して眠れる・入浴できる・暖かい食事が出される・作業着の洗濯ができる・分煙が徹底しているなど、可能な限り設備の整った宿泊施設を選びます。相部屋の場合、消灯時間を定め、静かな環境を保ちます。
4. 作業現場までの交通手段を確保します
現場の作業者に、作業以外に長時間の車の運転をさせると、疲労やさらには事故の原因になります。貸し切りバスなどを用いて、移動の負荷を軽減します。
5. 作業現場で安全な休憩場所やトイレを確保します
バス、工事車両、テント、簡易休憩所など、食事をとったり、横になって休息したりできる場所を提供します。休憩所の温度・湿度などを快適に保ち、弁当、飲料や手指消毒薬など必要な物資を手配します。また作業中はトイレを我慢しがちになることから、作業場所近辺の公共トイレの地図や、簡易トイレを用意します。
6. 危険に対する備えを万全にし、作業の負担を和らげます
厳しい環境の中で作業したり、普段と異なる危険があったり、辛い光景を目にしたりすることは、作業者にとって負担が大きいものです。暑さ・寒さなど気候への備えは万全にします。作業者が訴える健康への不安に耳を傾け、必要な物品(保護具など)を提供します。万が一のためのホットラインや緊急連絡網の整備をすることも安心につながります。
7. 持病がある作業者は、治療を中断しないようにします
復旧作業では、緊張感が高まること・被災地への派遣が急に決まり常備薬の手配ができないこと・食事療法が難しいことにより、高血圧や糖尿病など持病をもつ作業者の健康状態が悪化します。持病のある作業者が、治療を受け続けられるよう支援します。
また、現地で働く医療従事者自身や行政の方々に対しても同様に疲労予防のための啓発が求められます。
堀 愛、和田耕治
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