ラベル 疲労 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 疲労 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011年3月19日

被災地の治安を守るために予防すべき4つの暴力

 
食料、水、避難場所の確保といった日常生活上の問題で混乱するとともに、医療機関や警察などの社会インフラに混乱をきたすようになると、治安が悪化する恐れがあります。​​害後の暴力を予防するためには、必要な人への支援提供と、日常生活が円滑に進むような仕組みづくりが必要です。

1.子どもへの暴力
1)子どもへの思いやりを持ち続けてください。子どもは両親の反応に強く影響されます。
2)赤ちゃんが泣きやまないときは、なぜ泣いているかを把握するために、食べ物、おむつの交換、服の着せすぎや薄着のしすぎがないかなどの基本的な欲求が満たされているか、おむつかぶれなど病気や痛いところがないかを調べます。散歩に連れ出すのもいいでしょう。泣きやませるために、肩、腕や足を揺さぶると、けがや死亡につながる恐れがあるので、決してしません。赤ちゃんがたくさん泣くのは当然のことですが、親にとってはストレスになります。無力感や怒りを感じた際には、少し赤ちゃんから離れて時間をとり、穏やかな気持ちを取り戻して赤ちゃんに接します。
3)親は常に、子供が今、どこにだれといるか、把握している必要があります。
4)信頼できる人の助けを得て、あなた自身も休息をとります。
5)家族と離れ離れになっている子どもがいたら、行政の担当者などに知らせてください。
6)虐待や育児放棄を疑った場合には周囲の人は、訪問した医師や保健師や、児童相談所などに相談してください。

2.家庭内での暴力
1)誰かが暴力的になっているのを目撃したら、危険な状態にある人を逃がすなど距離を確保します。もしあなた自身に危険が及ぶおそれがある場合には周りの人などに知らせます。
2)自分が危険な状態にあることを感じたら、友人や家族、診療所などに助けを求めます。 
3)アルコールを飲ませないようにします。
4)住む所や仕事を失うような困難な状況下では、人間関係に大きなストレスを感じるものです。つらいと感じたら十分休息をとったり、心の健康の専門家の面談や電話サービスを活用します。
5)避難所、地域や学校でのボランティア活動に積極的に参加して、他の人との関わりを持つようにします。

3.性的暴力
1)誰かが性的暴力の被害にあっていたら、助け出しましょう。もし自分に危害が及びそうな場合は、警察に助けを求めます。
2)女性は外出する際は、トイレに行く時なども含めて、単独行動は避けます。
3)人がたくさんいる安全な場所にいるようにしましょう。
4)アルコールは不安やストレスをより強くします。また、アルコールを飲む場では性的暴力を受ける可能性もあります。
5)もし自分や周りの人が被害にあったら、親友や家族に話して十分にサポートを受けます。そして警察に連絡することをためらいません。

.若者の暴力
1)他人を尊重し、違いを認めましょう。ストレスや心配事があっても、他の人をいじめたりからかったり悪口を言ったりしてはいけません。
2)清掃など被災地の復旧・復興活動に参加させます。
3)アルコールや薬物(麻薬)を使用する人には近づきません。これらの物質は不安やストレスを高める作用があり、危険な場所に身を置く機会にもつながります。
4)大声で怒鳴ったり、暴力をふるったりせずに、話し合いで解決するようにしましょう。
5)もしだれかが暴力をふるおうと計画しているのを知ったら、狙われている相手と信頼できる人に知らせましょう。もし報復される恐れがあるときは、警察にも連絡します。

担当:松井亜樹、末廣有希子、和田耕治

被災地に対する医療支援の考え方 

 報道では、津波が直撃した高度被災地の映像が繰り返し流されています。しかし、壊滅的な被害を受けた地域のみならず、その周辺では、多くの医療機関が通常の診療体制を維持できずに苦しんでいると思います。

 専門性の高い支援チームによる緊急援助だけが、いま被災地で求められている活動ではありません。医師や看護師のみならず、薬剤師、栄養士、一般のボランティアなどが必要とされているはずです。

 ここでは、災害後の時系列にしながら、どのような被災地の医療支援が求められているか、求められることになるか、私の個人的な経験に基づき考えてみたいと思います。

 なお、憶測で支援活動を開始するのは厳に慎みましょう! かならず現地の医療機関、ボランティアセンター、地域医師会、行政機関に問い合わせ、ニーズがあるかの確認をしてください。そして、支援者は交通手段、および衣食住について自己完結できる装備で現地入りすることが原則です。決して、現地のリソースを浪費しないこと。かつ、ヒットアンドアウェー方式、つまり支援を終了したら速やかに被災地を離れることが基本です。

■ 発生直後から5日後まで

 災害直後の超急性期においては、現地病院、診療所の機能を破綻させないための物理的支援が求められます。最低限の医療機器を動かす発電機、夜間での診療を可能とする小型投光機があれば、日暮れた後でも、負傷者が殺到する救急外来を維持することができます。おそらく5日目までは外科系の患者がメインだと思います。つまり、ひたすら縫合できる医者が必要です。

 また、入院患者を抱える医療機関では、病院食を持続的に提供できるかどうかが存続のカギとなります。ライフラインが断絶している場合には、飲料水、そしてプロパンガスとコンロにより基本的な調理ができるような支援が必要です。

 こうした状況では栄養士の知識が必要です。ありあわせの支援食材で、入院患者ごとの病院食(たとえば低カリウム食、潰瘍食など)を工夫しなければならないからです。多くの支援食材には、保存性を優先した塩分が高めのものが多いようです。肝障害、心不全、腎不全などの患者むけ特殊食材については、ピストン輸送で支援することも考えてください。

 透析患者や糖尿病、心不全などの重症患者については、被災地では管理できないかもしれません。こうした診療が可能な医療機関への転送も検討すべきだと思います。

■ 6日後から14日後まで

 6日を経過すると、続々と医療支援チームが到着しはじめ、各自治体行政の災害対策本部ですら、医療支援の全体像がつかめなくなります。発生当初とは異なる意味での混乱がはじまります。

 日本赤十字社(以下、日赤)らを中心とした大手の医療支援チームが集合し、地元の医師らと活動状況を交換して、受診者数の動向や症例提示を行うようになるでしょう。このころになると遊軍型の支援活動は、ときに混乱を助長する可能性があるので注意してください。ある程度、あなたが継続的かつ組織的に活動することができているのなら、独自の立場で支援者会議に参加することも可能ですが、地元の医療機関や大手の支援団体の一部になるよう心がけるべきです。あなたの活動を行政やボランティアセンターが把握していることを常に確認してください。

 各地で、日赤が被災地医療において指導的な役割を果たしていることに違和感を持たれる方もいるかもしれません。日赤は「日本赤十字社法」という法的根拠があって行動しており、同法33条に「国の救護に関する業務の委託」というものがあり、非常災害時における国の行う救護に関する業務が日赤に委託できることになっています。あるいは「災害救助法」では、「政府は日本赤十字社に、政府の指揮監督の下に、救助に関し地方公共団体以外の団体又は個人がする協力の連絡調整を行わせることができる」(第32条の2第2項)とされています。つまり、行政システムの空白期間には、日赤が業務を代行したり、施設の整備をすすめることが認められているのですね。もちろん、日赤が支弁した費用を国が補償することにもなっています。

 この他、日赤は「災害対策基本法」で指定公共機関とされており、国の災害救護事業の一部となっています。日赤が指揮を始めたら、活躍の場を「奪われた」と感じて反発するのではなく(そういう陣取り合戦を好む団体が少なくありません)、日赤を核とした緊急医療支援体制として、地元医師会等も参加したチームワークを形成するよう心がけてください。

 さて、この頃より被災地の医療機関には、定期薬を内服できずにいた慢性疾患の患者が増悪して運ばれるようになります。つまり、内科系の医師にニーズがシフトします。主な疾患は、高齢者の脱水や肺炎、小児や成人の喘息発作、糖尿病や心不全の急性増悪などが予測されます。この傾向は、地域の医療機関が復興し、主治医による定期外来診療が再開されるまで継続します。

 さらに、外傷患者の創部感染による全身状態の悪化も多発しはじめます。人手も資材も不十分な被災地の医療機関では管理できないので、診療が可能な医療機関への転送が必要です。事前に、医療機関ごとに後方支援病院を決定しておいた方がよいかもしれません。

 車中泊を続けている被災者(ときにボランティア)が、長時間同じ姿勢で寝続けることによるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)を発症しはじめます。姿勢のほかにエコノミークラス症候群を引き起こしやすい環境として、乾燥と寒冷があります。つまり、いまの被災地は発症の好条件と言わざるをえません。

 エコノミークラス症候群により静脈内に形成された血栓が飛んで肺塞栓を引き起こすと、呼吸困難と胸痛などの症状が出ます。さらに進行すると、血圧低下、意識消失などを生じ、重症な場合には、そのまま心肺停止します。非常に怖ろしい疾患であり、大切なことは予防です。乾燥を防止し、水分を補給し、休息時にも適度な運動を行うこと。そして、下肢の静脈内に血栓がないかを早めに診断してもらうこと。つまり、この時期には、ポータブルエコー機器を使える技師による被災地の巡回検診が求められます。

 また、混雑したトイレに行かずにすむよう水分制限をしている避難者が多いことにより、尿路感染症の患者も多発しはじめます。これを予防するため、とくに女性向けのトイレゾーンの設置と衛生状態の確保が急務です。

■ 15日後から1ヶ月後まで

 多くの地域でライフラインは復旧し、医療体制は平時に近づきつつあります。しかし、それまで高度の緊張状態で仕事をつづけていた現地スタッフが疲労で倒れはじめます。限界状況での判断を続けてきた幹部クラスから、子供を含む多くの被災者の死を目撃してきた医師、看護師、薬剤師、放射線技師、理学療法士、栄養士、ケースワーカー、事務や清掃の担当者にいたるまで、傷ついた心と体を休めることが必要です。

 おそらく自宅は散乱したままで、使命感に従って仕事を続けてきたはずです。彼らに休息をとらせるために、様々な医療の専門性を有する職種や一般のボランティアが、日常業務の代行支援を必要としているはずです。

 緊張状態がはずれ、疲労に気がつく頃、風邪をひく人が増えてきます。また、場合によってはインフルエンザの流行をみるかもしれません。避難所の感染対策については、また別に書いてみたいと思いますが、今から考えておくべきことはワクチンの接種です。とくに基礎疾患のある方々を守るためにも、避難所での生活が長引きそうな方々については、老いも若きもワクチン接種にご協力いただいた方がよいかもしれません。

 あと、当たり前のことなのですが、発熱したボランティアは即刻被災地退場です。とくに、熱を出したまま避難所などにゼッタイ入らないこと。避難所で流行する多くの感染症は「最初はボランティアが持ち込むもの」であることを自戒しましょう。

 また、避難所で生活している高齢者は、寒冷下で毛布にくるまって、ほとんど動かずにいるため筋力が衰え、関節が拘縮(可動域制限を起こす状態)してきます。できれば早い段階からリハビリを開始しておくべきですが、その後、こうした高齢者が寝たきり状態になるかどうかの重要な時期にさしかかります。理学療法士、整体師、ヨガなどの専門家が多数必要になってきます。

 新潟県中越地震のとき、小千谷市の保健師らが震災後3週間の時点で実施した被災者約1万7千人の健康状態調査では、234人が健康相談など何らかの支援が必要と判断されています。そのトップは「心のケア」で41%で最も多く、健康相談(27%)、医療機関の受診(25%)、食事・トイレなどの介助(18%)と続いています。自覚症状では不眠や憂うつ、意欲低下など精神的な症状が目立つという結果でした。

 つまり、この時期には、孤立した被災者がうつ状態にないかを確認することが必要です。周囲が復興し、家族と再会し、新たな生活の目途が立ち始めるなか、一部の方は焦燥と絶望を行き来しているかもしれません。こうした被災者の自殺を予防することも含め、避難所などでの声かけ、話し相手が求められるようになります。

 ただし、災害の記憶を引き出させるような話題は避けるべきです。災害のたびに重ねられている失敗だと私は思っていますが、「小児の被災者に災害の絵を描かせるのは禁忌」です。記憶を固着化し、PTSDへと誘導すると言われています。こうした治療法(ポスト・トラウマティック・プレイセラピー)が臨床心理士によって行われることはありますが、あくまでトラウマ化している小児に対する専門的なアプローチであることをご理解ください。

 小児については、忌まわしい記憶を忘却することが可能なので、ボランティアレベルでの支援介入では「思い出させないことが重要」なのです。メディアも含めて、災害の体験を子供に語らせたり、描かせたりしないようにしてください。

 高血圧などの慢性疾患をもつ中高年の方々は、明らかな症状を認めていなくとも、「血圧が高いのではないか」、「血糖値が不安定なのではないか」、「不整脈が出ているのではないか」といった、漠然とした健康不安を抱えながら家の片付けなどに追われていることが多いものです。避難所などを医師や看護師が定期的に訪れて「体調を見守ってさしあげる」ことは、震災後の様々な不安のなかで「ひとつの安心」を提供する活動となると思います。

 ただし、巡回診療で血圧などを測定して「ちょっと高いですね」と事実だけを伝えて、そのまま何もしないのであれば、単に「不安を助長する活動」にすぎませんね。私は、症状のない被災者の血圧や血糖を測定するのは反対です。基本的には健康不安への傾聴とアドバイスを行ない、とくに希望があれば血圧を測って差し上げればよいでしょう。

 避難所を対象とする巡回診療の重要な役割は、かかりつけの診療所や病院の再開を告げることだと思います。ですから、地元保健師らと連携しながら各医療機関の復興状況について情報収集をこまめに行い、医療が復興しつつあることの広報が必要な時期と言えるでしょう。地域の保健医療資源を把握し、今後の地域医療の担い手となるのは、やはり地元の医療機関です。被災地医療支援の最終的なゴールとは、患者さん一人一人を安心した気持ちのまま、かかりつけ医へと誘導することですから…。

■ 1ヶ月後以降

 震災から1ヶ月が経過すると、避難所も救護所も縮小されはじめるでしょう。そして、被災地の医療は緊急支援より地域主体へと引き継がれる段階となります。

 ただし、復興の足取りは弱者の歩幅というよりは、むしろ強者の論理でことが進められがちです。また、問題にフタをすることで、災害の現実から逃避しようとするメンタリティが働くことも多いと思います。実際、平時の介護現場ですら、家族が「うちは大丈夫」と言っていながら、奥の部屋で高齢者が厳しい状態に置かれていることが珍しくはないわけで…。

 過去の災害事例を振り返ると、行政は避難所の閉鎖を思いのほか早く進めるという印象が私にはあります。復興を急ぐ空気と追いつけないでいる被災者、とくに高齢者の方々を長期で関わるボランティアは代弁することができます。ただし、彼らを抱え込むのではなく、行政と連携して地域の医療や福祉のなかに居場所を探してさしあげるようにするべきです。少なくとも、地域医療の担い手となりえない外来ボランティアの手に委ねられるものではないですね。

 そして、とても大切なことですが、疎かになり後味を悪くしてしまう問題があります。それは、引き際の問題です。あらゆる支援活動は、開始する段階で支援終了の目安を設定しておく必要があります。それは、被災地の医療機関の復旧状況や避難所の人数などが指標となるかもしれませんね。

 ただ、被災地の状況は刻々と変化するため、ボランティアは自らの活動に耽溺せず、地域全体の状況について把握しておく必要があります。そのためにも、自治体や医師会などと連携をとりながら、地域の復旧状況を逐次確認し、また他の支援団体の動向にも目を配っておきたいものです。どのような援助も、長期化すると現地のシステムに組み込まれ、依存関係を生み出す恐れがあります。漫然と支援活動が継続しないように配慮すべきですね。

■ おわりに

 テレビ報道をみていると、専門的な災害医療を背景としたチームばかりが活躍しているように見えるかもしれません。瓦礫の下の医療であるとか、多数の負傷者を前にしたトリアージ技術といったイメージが先行しがちですね。でも、こうした専門性の高い災害医療とは被災直後(およそ72時間以内)の特殊な状況において求められるものです。国内外の被災地支援に関わった経験から申し上げますが、時間的にも空間的にも圧倒的に求められていたのは、被災地の病院・診療所において平時と変わらぬプライマリケア・サービスを安定して提供できるよう支援する活動でした。

 支援を躊躇する理由はありません。あなたにもできることがあるはずです。ただ、大切なことは現地のニーズをきっちりつかみ、「支援したい」という自らのニーズに溺れないことですね。ここで私が書いたことも、イメージの一助に過ぎないことをご理解ください(あらゆる被災地は刻々と変化しながら助けを求めています)。おおよその震災医療支援の流れをつかんでいただいたら、まずは友人のつてなどを利用して、あるいは支援活動団体などに申し込んで、あなたならではの支援をはじめていただけることを期待しています。


さらなる理解のために(参考となる文献):
1) 田中良樹:被災現地の災害医療と避難所医療.治療 84(4): 1286-1291, 2002. <神戸震災の経験から災害時の医療ニーズについて整理されている>
2) 山本義久:大災害時の情報収集と医療.治療 84(4): 1317-1320, 2002. <大災害時の医療情報収集の手段としてインターネットの有効性を紹介している>
3) 石井昇:災害医学教育の現状と課題.救急医学 25(1): 85-90, 2001. <わが国の災害医学教育の現状と問題点を指摘し、具体的な教育方法について提言している>
4) The Sphere Project. 2004/アジア福祉教育財団難民事業本部:スフィア・プロジェクト-人道憲章と災害援助に関する最低基準.アジア福祉教育財団, 2004. <多くの援助機関の経験に基づき作成された災害援助の国際的イニシアチブ>
5) 高山義浩 : 新潟中越地震におけるプライマリ・ケア支援活動 . Journal of Integrated Medicine 15(8) : 662-664, 2005. <筆者による震災地域における医療支援活動についての報告と検討>

高山義浩(沖縄県立中部病院)

2011年3月16日

災害現場で救援活動をされた方が帰ってきた際に知っておきたい10のこと

 被災地での救援活動、本当にお疲れ様でした。様々な現場に直面されたことでしょう。日常生活に戻るために知っておきたいことを紹介します。
 時間とともに、経験したことについてあなたの気持ちや考え方は変わります。また、この変化のプロセスは人によって異なります。経験の内容、またはそれに対するあなたの反応がどんなものであったとしても、いくつかの基本的なステップを踏むことで、その経験に適応することができるようになるでしょう。

1.いろいろな人に連絡をします。みんな心配しています。
2.家族や地域社会とのつながりを大事にします。
3.人生にかかわる大きな決定はすぐにはしないようにします。
4.日常の意思決定をできるだけして自分で自分をコントロールする感覚を忘れないようにします。
5.自分自身がリフレッシュしたり、元気を充電したりできるような、楽しいことをすることに時間を費やします。
6.「正常に戻る」のには時間がかかることを覚えていてください。徐々に、あなたの日常に戻していきます。自宅や仕事場では、しばらくの間は、周りの人の力を借ります。
7.回復は真っ直ぐに進んでいくのではなく、2歩進んだら1歩下がることを知っておいてください。あなたは、必ず前進します。
8.自分自身や周りの人のユーモアの感覚を大事にしましょう。
9.薬またはアルコールの乱用は避けましょう。
10.たっぷり休みをとり、普通どおりの運動をします。また、バランスのとれた規則正しい食事をします。

本当にお疲れ様でした。


担当
荒薦優子、河津雄一郎、和田耕治

2011年3月14日

ご遺体を取り扱う際に自分の安全と健康を守る10のポイント

ご遺体を取り扱う際に自分の安全と健康を守る10のポイント

災害で亡くなった方は、本人の特定も必要ですし、埋葬など様々な手続きの関係でご遺体を取り扱う作業があります。
1.明確な指揮命令系統に基づいて作業を行います
2.災害によって亡くなられたご遺体が感染症の流行の原因になることはありません

3.作業者が安心して作業ができるように教育をします
血液・体液に触れないようにし、換気を適切に行えば、感染リスクは低くなるということを、作業者や訪れた被災者に説明します。

4.ご遺体に触れる際は手袋をし、触れた後には手を洗います
 手袋は使い捨てとし、また可能であれば耐水性のブーツを着用します。また
体液が付着したらすぐに洗えるようにします。

5.使い捨てマスク(サージカルマスク)は、におい対策として必要になります

6.作業者は脱水を予防するための水分摂取と休憩を十分とります
 水分や食事ができる場所を離れたところに確保します。

7.腰痛などの筋骨格系の障害を予防します。
例えば、移動を車輪の付いたカートで行う、複数人で対応するなど行います。
8.検死によって出た使用済みの物品の搬送や処理を適切にします
鋭利な物、感染性廃棄物などは分別し、オートクレーブや焼却で処分します。
9.セキュリティーやその後のフォローのために作業者の記録を行います
10.精神的なカウンセリングを提供します

参考:国立感染症研究所.被災地におけるご遺体からの感染症リスクについて

担当
多田隈潔・西本真証・石丸知宏 産業医大産業医実務研修センター
黒石真紀子 西日本旅客鉄道株式会社 健康増進センター
荒薦優子 三菱電機(株)
田中優子 和歌山労災病院 脳神経外科
松井亜樹 パナソニック
河津雄一郎 平和堂
和田耕治 北里大学

寒さのなかで作業する人が自分を守るために知っておきたい10のポイント

1) 食事をきちんと摂ります
作業には多くのエネルギーが必要となるため、脂肪の多い食事でカロリーを確保します。血糖値を確保するために充分な炭水化物も摂取します。

2)
水分を十分に摂ります
トイレに行きたくないという思いから水分を制限したくなりますが、寒冷環境では、喉の渇きが抑制されるため、頻繁に温かい水分を摂り、脱水を予防します。ただし、アルコールやカフェイン、ニコチンは、血管拡張を誘発し、利尿が促進されるため望ましくないです。

3)
衣服は重ね着をして保温に努めます
体温を逃がさないということが保温にとって基本です。保温性の高い下着などを活用します。汗をかいたり、水で衣服が濡れたりしたときは、体温が奪われるため、乾いている衣服に着替えます。暑いと感じたときは、上着で調整します。子供や高齢者は体温を失いやすいので、成人以上に保温に努めます。

4)
手、足や目などの保護します
指先やつま先は冷えやすいため、手袋、靴下を着用します。紫外線とグレアから目を保護するためにサングラスなどを着用します。ただし、金属製のメガネ、腕時計は皮膚温を低下させやすいため、着用を避けます。

5)
こまめに休憩を取ります
 屋外での作業時間の目安は、気温が-10
~-25なら50分程度とし、温かい部屋で少なくとも30分の休憩時間を確保します。これは、寒冷環境の作業に習熟し、適応した健康な成人男子が、ほぼ無風の状態で作業する際の基準です。風がある状態では、予想以上に体温が低下します。0℃以下でもこまめに休憩をとります。
循環器系に病気がある人や高齢者の場合は衣服の防寒対策をさらに行い、作業時間を短くするといった配慮が必要です。

6)
凍傷を予防します
冷えによる手指などの痛みやしびれは、作業が非効率になるだけでなく、凍傷に至る危険信号です。感覚が麻痺していることもあるので、ゆっくり暖めます。

7)
複数人で行動します
複数人で行動し、互いの安全を確認します。

8)
移動する際には安全を確保します
雪のある場所を歩いて移動するのは怪我の危険性がある上、体温を奪われやすいので、避けます。歩いてある程度の距離を移動する際には、目的地や到着予定時間を誰かに伝えます。予定時間を過ぎても到着していない場合は、警察などに通報します。

9)
屋内の一酸化炭素中毒を防止します
石油ストーブは換気ができる状態で使用する。また、屋内で発電機、グリルなどを絶対に使用しません。換気を行いつつも、ドアや窓の不要な開閉を避け、室内の熱を逃がさないようにします。隙間があればタオルなどでふさぎます。

10)
屋内火災を予防します
破損した電気コードは使用しません。延長コードも極力使用しません。暖房機器の近くに子供を一人にしません。
参考資料
ILO
産業安全保健エンサイクロペディア(第4版)
日本産業衛生学会 許容濃度の基準(2010年)
労働安全ハンドブック(第2版)
担当:奈良井理恵(産業医大衛生学)、和田耕治

災害現場で活動する時の5つのポイント


災害現場で作業していると、自分自身の精神や身体の状態をチェックすることの必要性を忘れがちになります。しかし、自分自身を守ることは、現場で作業に集中するためには必要なことです

1.自分のペースを守りましょう
災害現場での作業は数日から数週間におよぶ長丁場です。健康を保つために、可能な限り規則正しい生活をしましょう。特に、規則正しい食事や睡眠は極めて大切です。無理をせずチームのスケジュールや交代時間を守りましょう。

2.頻繁に休憩を取りましょう。
災害現場は危険ですから、長時間作業することによる精神的な疲労は、ケガの原因になります。意識的に、できれば作業現場から離れた場所で休憩を取るように心がけましょう。特に、飲食するときには、できるだけ清潔な場所を探しましょう。

3.水分・栄養をしっかりとりましょう。
水やジュース等で水分を充分にとるように心がけて下さい。また、健康を保つために、いろいろな食物を食べるようにしましょう。特に、炭水化物を多く摂るようにしましょう。

4.他のメンバーにも注意しましょう。
あなたの同僚は作業に熱中しすぎて、危険が迫っているのに気付いていないかもしれません。

5.自分のメンタルヘルスに気を配りましょう。
(1)指揮命令系統や組織、設備の故障など、どうしようもないトラブルを抱えると、ストレスに感じてしまうことがあります。変えようがない事実があるということを認識し、受容することが必要です。
(2)人に何かを話したいと思った時には、できるだけ話をするようにしましょう。自分の経験したことについて話をするタイミングは自分で決めることが大切です。ある出来事について話をすることは、その出来事を追体験することになる恐れがありますので、どこまで話すかは自分で決めて下さい。
(3)自分がふさぎ込んだ気持ちになることを許してあげて下さい。今あなたは困難な状況にあるのですから。
(4)同じような考えや、夢、フラッシュバックが繰り返しおこるのは当然のことです。それらと戦おうとしないで下さい。これらは、時間をかけて減少していきます。
(5)できるだけ頻繁に、家族や友人とコミュニケーションを取るようにしましょう。
(6)公的なメンタルヘルスサポートがあれば、利用してみましょう。

災害現場で作業をする人は、重傷の人々(子供や大人)と接したり、死体や体の一部を見たり、同僚の死を経験したりすることによる、いわゆる「トラウマ」を経験する可能性があります。

>>>>>

参考
トラウマは、経験した時だけでなく、数週間や数ヶ月経った後にでも、仕事をする能力を低下させてしまうような非常に強い症状を生じることがあります。具体的には、以下のような症状が考えられます。

・身体の症状
胸痛、呼吸困難、ショック症状、疲労、嘔気/嘔吐、めまい、発汗、動悸、のどの渇き、頭痛、視覚障害、歯ぎしり、身体の痛み

・認知に関する症状
錯乱、悪夢、見当識障害、過度な/低すぎる用心深さ、集中力低下、記憶力の低下、問題解決能力の低下、よく知っている事柄や人のことが分からなくなる

・感情の症状
不安感、罪悪感、悲嘆、否認、重篤なパニック発作、恐怖感、イライラ感、感情がコントロールできない、抑うつ気分、挫折感、自責感、他人を責める気持ち

・行動の症状
強度の怒り、引きこもり、感情の爆発、食欲不振/過食、酒量の増加、じっとしていられずうろうろする、性機能の変化

※特に、胸痛、呼吸困難、ひどい痛み、ショック症状(浅い呼吸、脈がはやい、脈が弱い、吐き気、身体のふるえ、皮膚が青白く湿っている、錯乱、瞳孔が開くなど)があった場合には、大至急医療にかかるようにしましょう。

強い感情は異常な状況において「普通の反応」であることを覚えておきましょう。
ご担当いただいた先生方
多田隈潔・西本真証・石丸知宏 産業医大産業医実務研修センター
黒石真紀子 西日本旅客鉄道株式会社 健康増進センター
荒薦優子 三菱電機(株)
田中優子 和歌山労災病院 脳神経外科
河津雄一郎 平和堂統括産業医
どうもありがとうございました。


参考
http://www.cdc.gov/niosh/docs/2002-107/pdfs/2002-107.pdf

洪水の復旧作業には様々な危険が伴うことを認識しましょう 知っておきたい13のこと とても大事


洪水の復旧作業には様々な危険が伴うことを認識しましょう 


復旧に関わる人や外部からのボランティアの方は経験や体力に差があることを認識し、お互いに安全が確保できるようにすることが求められます。
復旧作業は中長期的に続くことを認識し、精神面、身体面の障害を予防しましょう。


1.感電に注意しましょう
(1)洪水時、近くに水がある場所で高電圧の電気機器があると、感電のおそれがあり、危険です。主電源(ブレーカー等)を切り、その後は専門家による安全の確認がなされるまで、電源を入れないようにしましょう。
(2)発電機を使用する場合、起動する前に電源を入れておくと感電の恐れがあるので、電源を切っておきましょう。
(3)切れた電線の付近の作業は感電の危険性が高いので、急務でなければ、専門家に任せましょう。


2.一酸化炭素中毒を未然に防ぎましょう
(解説)洪水時の復旧活動では発電機を使用する機会が多いですが、これらの機器は一酸化炭素を発生させる恐れがあります。一酸化炭素は吸引することで致死的な一酸化炭素中毒を引き起こします。発電機を含む、ガソリンを使用する機器は必ず屋外で用いるようにしましょう。


3.筋骨格系の障害を予防しましょう
(解説)洪水時の復旧作業は重量物の運搬作業が多く、手、腰、膝、肩を痛める危険があります。特に重量物の運搬では、腰痛に対する注意が必要で、こうした事を未然に防ぐため、重量物は2人以上で協力して運搬すること。可能であれば運搬用機械を用いるようにしましょう。


4.しっかりした防寒を行いましょう
(解説)冷たい水に浸かっての作業は低体温を引き起こします。低体温を予防するためには、ゴム長靴、しっかりした防寒着の着用が推奨されます。また、湿った着衣は体温を奪うため、気を付けましょう。人目のあるところで作業をする、水面から離れて、しっかり休息をとるといった事も重要です。


5.重機の取り扱いは専門家に依頼しましょう
(解説)不慣れな人、資格を持たない人が重機を取り扱うことは、二次災害につながる恐れがあります。重機の取り扱いは必ず専門家に依頼しましょう。


6.周囲の地盤、建物の安全性を過信しないようにしましょう
(解説)洪水によって、地盤、道路、建物は強度が弱っている可能性があり、一見、安全に見えても、崩壊の恐れがあります。むやみに立ち入らないようにしましょう。


7.有害物質に注意しましょう
(解説)洪水時に溢れた水には、タンク、ドラム、パイプなどから漏れ出た農薬や有機溶剤などが含まれている可能性があります。内容物のわからない容器にむやみに触れないようにしましょう。もし、内容物に触れたら、しっかりと洗浄し、何らかの症状が出た場合は、早急に医療従事者に連絡しましょう。


8.火災に注意しましょう
(解説)洪水が起きた後は、消防用水の不足などから、火災が起きた際に十分な消火活動ができない可能性があります。復旧作業を行う際は、できる限り、消火器などを準備したうえで行いましょう。


9.溺水に注意しましょう
(解説)泳力に自信がある人でも、災害時の水たまりなどの中では溺水する恐れがあります。水がある場では、一人作業を避け、ライフジャケットを着用しましょう。また、乗り物の中で、脱出できずに溺水する可能性もあります。深さのわからない場所では、車や重機を運転しないようにしましょう。


10.軽微なけがもしっかり初療を行いましょう
(解説)軽微なけがや、やけどでも、汚染された水に暴露されると感染の危険があります。すべての傷をきれいな水とせっけんで洗った上で、早期に医療従事者に相談しましょう。破傷風の予防接種は特に重要です。


11.十分な保護具を準備しましょう
(解説)二次災害を防ぐため、保護具の着用を心がけましょう。ヘルメット、ゴーグル、手袋、安全靴、耳栓など。


12.閉鎖空間での作業の危険性を認識しましょう
(解説)ボイラー、炉、パイプライン、ピット、浄化槽、下水槽、貯蔵タンクなどの閉鎖空間で作業をする際にはその危険性を認識する必要があります。出入り口が限られていること、換気が悪いこと、スペースが狭いことなどが挙げられます。有害ガスの充満による窒息、ガス爆発なども考えられるので、不用意に近づかないようにしましょう。作業の必要があれば、専門家に依頼しましょう。


13.精神、身体面の疲労に気を付けましょう
(解説)災害発生時は、精神的な負担と身体的な負担が合わさり、ストレスに起因する疾患やけがの発症の可能性が高まります。家族、近隣住民と支えあい、可能であれば、精神衛生の専門家と相談することがこれらの予防につながります。作業の優先順位をつける事、しっかりと休養をとることなども重要です。




謝辞:産業医科大学 産業医実務研修センター尾土井 悠先生にご協力いただきました。

2011年3月12日

津波の後の復旧作業における労働者の安全と健康を守る10の点~2004年インド洋津波に学ぶ~

津波の後の復旧に関わる労働者やボランティアの方は安全と健康を守るための対策を知り、実行する必要があります。作業者の中には経験がない人もいるので、互いに安全を確保しながら作業を進めます。

1.感電を予防します
自然災害の後に感電が起こりえます。感電を防止するために、清掃活動に参加する人は、次の手順を実行することが求められます。
電気回路や電気機器の近くに水がある場合には、メインのブレーカーまたはヒューズパネルの電源を切ります。電気は、専門の電気技師の確認が終わるまで入れません。もし電源がオフになっていることが確認されない場合には水のあるところに入らない、また地面のぬれているところで電気機器をさわらないようにします。絶対に切れた電線に触れないようにします。
電線が切れた地域での掃除などをする場合には、電気会社に連絡し、送電の停止などを行います。頭上の送電線の近くではしごなどを動かす際には特に注意が必要で、不注意な接触がないように細心の注意を払います。

2.一酸化炭素中毒を予防します
洪水の後の片付けには、ガソリンまたはディーゼルポンプ、発電機などを使用することがあります。これらの装置は、無色、無臭で致命的な「一酸化炭素」を発生するため、こうしたガソリンを用いる機械は屋外で使用し、屋内に持ち込まないようにします。

3.筋骨格系障害を予防します
片付けの作業により、手、腰、膝、肩などに深刻な筋骨格の障害を起こすことがあります。泥などを手で運んだり、建材を運んだりするときは特に腰痛への注意が必要です。こうした障害を予防するために2人以上のチームを使い、一人あたり20Kg以上のものを運ぶのは避け、機械を用います。

4.寒さ・暑さ対策をします
24以下の水につかったり、働いたりすると体の熱が失われ、低体温になります。低体温のリスクを減らすためにもゴムのブーツ、暖かい洋服、単独作業をしない、水の外に頻回に出る、可能な限り乾いた洋服に着替えるなどします。
 また、暑い季節には熱中症の対策も必要です。

5.地盤の不安定性を考慮します
洪水の水は、歩道、駐車場、道路などを破壊します。水によって破壊された建物や地面が安定していることを期待してはいけません。津波に持ちこたえた建物も倒壊の危険性があります。洪水で破壊された建物は専門家による確認の前に中や周りで働いてはいけません。もし建物が動いたり、変な音がしたらすぐに立ち退きます。また余震による倒壊にも注意します。

6.危険物を管理します
洪水の水には、タンク、ドラム、パイプなどからの重油、農薬などが含まれている可能性があります。消防署や自治体などとの連絡なしに不明なコンテナを移動しません。
潜在的に汚染された可能性のある地域での作業には、皮膚への接触や蒸気の吸入をさけるための適切な防護服を着用します。農薬やその他の有害な化学物質にさらされた可能性のある皮膚は頻回にしっかりと洗います。

7.溺水に注意します
たまった水に入ると泳げたとしてもおぼれる可能性があります。車の中にいる人が溺水する可能性も高いです。深さが不明の場所に車や重機で入らないようにします。単独作業の禁止や洪水の水がたまった近くで作業をする際にはライフジャケットを着用します。

8.保護具の装着と応急処置をします
浸水した地域での作業では、次の保護具が必要になります。
ヘルメット
ゴーグル
手袋
安全靴、防水ブーツ
チェーンソー、ブルドーザー、送風機、乾燥機などの機械からの騒音は、作業者の耳鳴りや聴覚障害をおこします。お互いに叫ばないと伝わらない場所では耳栓をします。
 また保護具をしていたとしてもけがややけどをすることがあります。汚染された水に曝露されると大変危険です。すべてのきずはきれいな水で洗いましょう。また、作業中の切創に対して破傷風の予防接種を確実にします。


9.閉鎖空間での作業には十分に注意をします
ボイラー、パイプライン、ピット、浄化槽、下水タンクなどの閉鎖空間では有毒ガスの発生、酸欠、または爆発の可能性があり死亡事故につながる可能性があります。多くの有毒ガスや蒸気は目に見えず、またにおいもないので、安全かどうかを感覚で判断してはなりません。
閉鎖空間には十分なトレーニングを積んでいなければ絶対に入ってはいけません。もし閉鎖空間に入る必要がありトレーニングを積んでいなければ消防に相談しましょう。
閉鎖空間とは、入口または出口が限られた範囲しかあいていない、不十分な自然換気、連続した作業のためのスペースが想定されていないといった場所が該当します。

10.ストレス、長時間労働、疲労を予防します
長時間の労働や、家が破壊されたり仕事を失ったりすることで非常に大きなストレスを感じます。このようなストレスにさらされている作業者はけがや感情的な事件がおこりやすくなり、またストレスに起因する疾患を発症しやすくなります。家族、近所の人、メンタルヘルスの専門家による支援はストレスに関連する疾患などの予防につながります。
疲労を予防するために、復旧や清掃の優先順位を設定し(日や週単位で)、身体的な疲弊を避けます。また、睡眠を十分にとり、休息をこまめにとり、疲弊しないようにします。


和田耕治