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2011年4月19日

東日本大震災の復旧・復興に求められる働く人の健康を守る産業保健活動


和田耕治(北里大学医学部公衆衛生学講師)


 東日本大震災の復旧・復興に関わる方々は様々な危険有害要因にさらされる可能性があり産業保健の観点からの対応が求められる。
 災害の初期には、自衛隊や消防隊などある程度訓練を受けた人が対応にあたるが、今後被災者自身が片付けなどを行ったり、またボランティア、民間の業者の労働者などの関わりが増す。こうした人々を危険有害要因から組織的に守り、二次災害を予防する必要がある。
 危険有害要因としては次のようなものが挙げられる。
 1.生物学的要因
 感染症対策としては、公衆衛生では避難所での感染対策(胃腸炎、インフルエンザなど)が主と考えられがちであるが、その他に被災地においては、がれきに含まれるレジオネラ、作業によって山林などに入ることによるツツガムシ病、そしてけがによる破傷風といった感染症から労働者やボランティアを守る必要がある。
 2.化学的要因
 様々な化学物質が津波によって流されて被災地に拡散しており、これらの曝露から労働者やボランティアを守る必要がある。また、がれきの片付けによって発生する粉じんや、アスベストは阪神・淡路大震災やワールドトレードセンターのテロでも課題となっており喫緊の課題である。
 3.物理的要因
 原発事故による放射線への対応、そして、これまでは寒さ対策であったが、今後は暑さ対策が必要である。さらに、腰痛など筋骨格系の予防や、けがの予防が必要である。
 4.心理社会的要因
 作業者の疲労や過重労働、過酷な労働環境、そして被災者のストレスを受け止めることによるストレスなどへの対応が求められる。
 5.健康管理
 作業者としての派遣やボランティアとして参加にあたっては十分な健康が保持されているかを確認し、持病などがある場合には配慮をする必要がある。
 これらの要因に対してすでに様々な災害や産業現場での教訓や経験が産業保健には蓄積されており、今こそ実践に移す時である。
 しかしながら、様々な課題があるが2つの課題を強調する。
 1つ目の課題として、産業保健の知識と実践をどのように現場に反映させるかである。ボランティア組織や、民間業者などは数多くあり、それらのすべての情報を流し、さらにすべての人に実践していただくことは容易ではない。インターネットなどの活用はその解決の糸口にはなりうる。しかし、情報の入手を容易にし、かつ分かりやすくした情報を豊富に、そして様々なチャネルで産業保健の専門家や行政が流すことが求められる。また、行政や業界団体などが労働者の健康を守る産業保健の視点を常に意識するための仕組みが必要である。
 2つ目の課題としては、「リスクに応じた対策」ということが現場では容易ではないことである。人は一般的に「小さなリスクは大きく感じ、大きなリスクは小さく感じる」傾向がある。放射線でも、粉じん対策でもリスクに応じたバランスの良い対策が必要であるが、実際に現場での具体的な対策に関する判断には「応用」が必要であり、また過剰な対策を予防するには専門家の関与が必要となる。こうしたことからもリスクに応じた対策の具体例を多く提供しつつ、産業保健の専門家ができるだけ関わることが課題の解決になると考えている。
 産業保健の視点は復旧・復興になくてはならないものであり、我々産業保健の専門家への期待は大きく、それに応えなければならない。また、経験したことのない新たな課題に対しては協力して解決をしていかなければならない。

2011年3月30日

ボランティア活動で病気やけがをしないために知っておきたい4つのこと

1.ボランティアに参加する前に
 1)体調は万全ですか?
 体調が悪い時、特に発熱、下痢、嘔吐、咳等が見られる時は、被災地に入るのを控えましょう。被災地の外から来たボランティアが、被災地に感染症を拡げてしまうことがよくあります。
 現地入りする前に、破傷風、インフルエンザ、麻疹のワクチンを接種しているか確認し、必要に応じて追加接種をしましょう。また、医療に関わる人はB型肝炎ワクチンの接種が必要です。

 2)ボランティア組織に入りましょう
 被災地のボランティア組織などに登録して、現地のルールに従って行動しましょう。組織で動くことで、チームで作業することができ、お互いに安全を確認したり、シフトを組んで適切な休憩をとったりすることができます。

 3)ボランティア保険に入りましょう
 被災地は危険なところが多いですから、ケガをしたり病気になったりすることも考えられますので、できれば保険に入っておきましょう。ボランティア団体に所属している場合は、団体として保険に入っている可能性がありますが(念のため確認しておいてください)、個人としても契約することができます。最寄りの社会福祉協議会が窓口ですので、出発する前に入っておきましょう。掛け金は年間数百円ですが、保証される手術保険金でも数十万円までと少額ですので、普段から入っている傷害保険と併用することが一般的なようです。自分が普段から入っている保険内容も確認しておきましょう。


2.復旧作業に関わるときは、自分がケガや病気にならないように
1)けが
 動いている重機の近くは危険なので、近づいてはいけません。
 小さな傷口でも、泥や汚染された水にさらされると、化膿してしまったり、破傷風のような命に関わる病気にかかってしまったりすることがあります。
 もしけがをしてしまったら、すぐにきれいな水と石鹸で洗い流して、破傷風予防の処置が必要かどうか、医師に相談してください。破傷風は発症した場合には20%~50%が亡くなってしまう致死率の高い病気ですが、今回の震災でも、すでに破傷風にかかった人が報告されています。

2)腰痛
 重いものを一人で持ち上げると、腰痛を引きおこすことがあります。おおむね22kg以上の重量物を運ぶときは、無理をせず2人以上で作業をするようにしましょう。

3)酸欠・硫化水素中毒
 津波で海水をかぶった建物の中は、十分な換気をすることができない場合があります。海水が入ってから長時間放置されていると、貝などが大量発生したり、そこにあるものが腐ったり、室内に大量のカビが増殖していたりすることがあります。そうすると、微生物が室内の酸素を消費してしまい、酸素欠乏症になる危険性が高くなります。酸素濃度が極端に低い空気を吸うと、一回呼吸するだけで酸欠で即死してしまうことがあり、非常に危険です。また、いろいろなものが腐るときに有毒な硫化水素が発生してしまうこともあります。大量の硫化水素を吸入すると、短時間であっても命に関わることがあります。
 海水がかぶった閉鎖空間、建物の中は、非常に危険ですので、立ち入る際には十分な換気が確保できるかを確認し、できるだけ消防や自衛隊などに相談しましょう。また、酸欠・硫化水素中毒のおそれがある場所に倒れた人がいても、救助しようとして無防備に飛び込むとさらに助けに入った人が酸欠で被災するので大変危険です。必ず、消防や自衛隊に助けを求めましょう。

4)有害化学物質による中毒
 災害現場には、石油、家庭用の薬品、農薬など、いろいろな化学物質が漏れ出しています。一部は混ざって化学反応をおこし、想像もつかないような物質が発生しているかもしれません。また、ゴミを野焼きにすると、有害な煙が発生する可能性もあります。少なくとも、変なにおいがするものには近づかないようにしましょう。
 ただし、有害化学物質の中には、一酸化炭素のように無味無臭のものも少なくありませんので注意が必要です。気分が悪くなったら、すぐに新鮮な空気のあるところまで逃げ出しましょう

5)脱水・栄養
 トイレ事情が悪いと、水分摂取を控えてしまう人がいますが、十分に水分を摂らないと、脱水症になってしまうことがあります。また、体を動かすには大量のエネルギーが必要です。十分な水分・栄養摂取(特に炭水化物、1食につき1000kcalを目安に)を心がけましょう。


3.保護具の使用を忘れずに
 作業時は必要に応じて、長袖・長ズボン、ヘルメット、ゴーグル、ゴム手袋、防水長靴(つま先と中敷きが金属で補強された安全靴)、保護マスクなどを着用してください。手袋は、内側はニトリル製などの耐切創手袋、外側はニトリルかラテックスの使い捨て(4~8mmの厚さ)と、二重にすると有効です。軍手では不十分です。


4.避難所での生活支援に関わるときは、体調管理に気をつけましょう
十分に休養と栄養をとって体調管理に努めてください。作業後や食事前、トイレの後は、流水と石鹸で手洗いをしましょう。清潔な水が確保できない場合は、速乾性消毒アルコールを使用しましょう。
 食中毒を予防するために、食事の調理や配膳の担当者は、体調の異変時(発熱、下痢、はきけ、手指のけがなど)には速やかに申告して、交代してもらいましょう。
 咳が出る時は、咳エチケット(マスクをする、ティッシュで口と鼻を覆う)を守りましょう。万が一体調を崩した場合は、迷わず離脱する勇気も大切です。

参考:http://www.cdc.gov/niosh/topics/emres/pe-workers.html
担当:松井亜樹、末廣有希子、河津雄一郎、和田耕治

2011年3月21日

避難所のインフルエンザ対策6つのポイント 

 避難所は集団生活の場であり、また体力が弱っている方々が少なくないと思います。今後、避難所などでインフルエンザの集団発生が多発してくる可能性が高いと思われます。なお、被災地の状況は地域ごとに刻々と変化していると思います。あくまでヒントのひとつとして、現場の状況をご確認いただきながら対策いただければと思います。

1)持ち込ませない

 避難所のインフルエンザ対策において、まず大切なことは「ウイルスを持ち込まない」ということです。言うまでもなく、発熱したボランティアはもちろん、いくつもの避難所を巡回するようなボランティアも、不必要に避難所内に入らないことだと思います。避難所の各エリアを個人の家と同じような感覚であつかい、その隔離性を維持することはプライバシーに配慮することのみならず、感染対策上も有効だろうと私は察します。

2)流行を早めに察知する

 早期発見、早期対応が感染対策の基本です。そこで、避難所のなかで感染症サーベイランスを始めるのがよいかもしれません。具体的には、毎朝、発熱がある人、咳や咽頭痛がある人、下痢をしている人を数え、集計を続けるというものです。これは医療者でなくても可能です。これにより、感染症アウトブレイクを早期に感知し、必要な施策を早めにとることが可能になるかもしれません。

3)環境の整備

 避難所内の換気も必要ですが、病気の方、ご高齢の方に配慮しつつ、寒冷に十分に配慮して実施してください。インフルエンザに関する限り、頻回の換気は不要だと思います。室内の密度にもよりますが、1日2回程度でよいのではないでしょうか? 室内をあまり乾燥させることは、飛沫を飛散させやすくするので好ましくないという分析もあります。

 共用するトイレでの接触感染は考慮すべき問題かもしれません。トイレの後には、できるだけ手指を流水・石けんで洗うよう呼び掛けたいところですが、現状では水が極めて貴重であるかもしれません。支援物資に擦り込み式エタノール剤があるといいですね。これは支援する側が心にとめたいニーズのひとつです。

4)症状のある方への対応

 インフルエンザに限らず、風邪を含む呼吸器疾患が流行している場合には、症状のある方がマスクを着用することを徹底させたいところです。マスクがない場合には、周囲の人と2メートル以上の間隔を空けるか、もしくは衝立を設けて隔離することが感染拡大防止になるでしょう。このような対応がとれるのであれば、必ずしも感染者の個室隔離は不要だと私は思います。

 とくにインフルエンザ様症状の重い方については、関係者は「避難所では診れない」と行政などに強く訴えられた方がよいかと思います。この方面については「がんばらない」ということですね。可能な限り、入院対応を含む避難所外での療養が原則でしょう。これがご本人のためであり、感染対策でもあると思います。

5)ワクチンの接種

 まだ避難所内でインフルエンザが流行していないのであれば、ワクチンの接種は可能であれば今から考えておくべきことかと思います。とくに基礎疾患のある方々については、今からワクチンを接種しておいた方がよいかもしれません。

 しかし、すでに流行が始まっている避難所では、ワクチン接種を開始しても意味がないかもしれません。この場合は、基礎疾患のある方、妊婦、幼児など重症化リスクがある方については、タミフルの予防投与を選択すべきかもしれません。

 すでに厚生労働省は行政備蓄していたタミフルの放出を決定しています。ある程度、タミフルは潤沢になると考えられるので、予防投与についても積極的に選択できると私は考えています。

6)人口密度を減らす

 言うまでもなくインフルエンザは、集団で生活しているような空間で広がりやすいものです。その意味で、避難所の人口密度を減らすことは、もっとも良い被災地の感染対策だと私は思います。いまの状況では、なかなか大変だと思いますが、目指すべき方向性なのかもしれません。私たち被災地外の市民としては、積極的に被災者の疎開を受け入れるよう呼び掛けたいと思います。

担当 沖縄県立中部病院 高山義浩

2011年3月14日

洪水の復旧作業には様々な危険が伴うことを認識しましょう 知っておきたい13のこと とても大事


洪水の復旧作業には様々な危険が伴うことを認識しましょう 


復旧に関わる人や外部からのボランティアの方は経験や体力に差があることを認識し、お互いに安全が確保できるようにすることが求められます。
復旧作業は中長期的に続くことを認識し、精神面、身体面の障害を予防しましょう。


1.感電に注意しましょう
(1)洪水時、近くに水がある場所で高電圧の電気機器があると、感電のおそれがあり、危険です。主電源(ブレーカー等)を切り、その後は専門家による安全の確認がなされるまで、電源を入れないようにしましょう。
(2)発電機を使用する場合、起動する前に電源を入れておくと感電の恐れがあるので、電源を切っておきましょう。
(3)切れた電線の付近の作業は感電の危険性が高いので、急務でなければ、専門家に任せましょう。


2.一酸化炭素中毒を未然に防ぎましょう
(解説)洪水時の復旧活動では発電機を使用する機会が多いですが、これらの機器は一酸化炭素を発生させる恐れがあります。一酸化炭素は吸引することで致死的な一酸化炭素中毒を引き起こします。発電機を含む、ガソリンを使用する機器は必ず屋外で用いるようにしましょう。


3.筋骨格系の障害を予防しましょう
(解説)洪水時の復旧作業は重量物の運搬作業が多く、手、腰、膝、肩を痛める危険があります。特に重量物の運搬では、腰痛に対する注意が必要で、こうした事を未然に防ぐため、重量物は2人以上で協力して運搬すること。可能であれば運搬用機械を用いるようにしましょう。


4.しっかりした防寒を行いましょう
(解説)冷たい水に浸かっての作業は低体温を引き起こします。低体温を予防するためには、ゴム長靴、しっかりした防寒着の着用が推奨されます。また、湿った着衣は体温を奪うため、気を付けましょう。人目のあるところで作業をする、水面から離れて、しっかり休息をとるといった事も重要です。


5.重機の取り扱いは専門家に依頼しましょう
(解説)不慣れな人、資格を持たない人が重機を取り扱うことは、二次災害につながる恐れがあります。重機の取り扱いは必ず専門家に依頼しましょう。


6.周囲の地盤、建物の安全性を過信しないようにしましょう
(解説)洪水によって、地盤、道路、建物は強度が弱っている可能性があり、一見、安全に見えても、崩壊の恐れがあります。むやみに立ち入らないようにしましょう。


7.有害物質に注意しましょう
(解説)洪水時に溢れた水には、タンク、ドラム、パイプなどから漏れ出た農薬や有機溶剤などが含まれている可能性があります。内容物のわからない容器にむやみに触れないようにしましょう。もし、内容物に触れたら、しっかりと洗浄し、何らかの症状が出た場合は、早急に医療従事者に連絡しましょう。


8.火災に注意しましょう
(解説)洪水が起きた後は、消防用水の不足などから、火災が起きた際に十分な消火活動ができない可能性があります。復旧作業を行う際は、できる限り、消火器などを準備したうえで行いましょう。


9.溺水に注意しましょう
(解説)泳力に自信がある人でも、災害時の水たまりなどの中では溺水する恐れがあります。水がある場では、一人作業を避け、ライフジャケットを着用しましょう。また、乗り物の中で、脱出できずに溺水する可能性もあります。深さのわからない場所では、車や重機を運転しないようにしましょう。


10.軽微なけがもしっかり初療を行いましょう
(解説)軽微なけがや、やけどでも、汚染された水に暴露されると感染の危険があります。すべての傷をきれいな水とせっけんで洗った上で、早期に医療従事者に相談しましょう。破傷風の予防接種は特に重要です。


11.十分な保護具を準備しましょう
(解説)二次災害を防ぐため、保護具の着用を心がけましょう。ヘルメット、ゴーグル、手袋、安全靴、耳栓など。


12.閉鎖空間での作業の危険性を認識しましょう
(解説)ボイラー、炉、パイプライン、ピット、浄化槽、下水槽、貯蔵タンクなどの閉鎖空間で作業をする際にはその危険性を認識する必要があります。出入り口が限られていること、換気が悪いこと、スペースが狭いことなどが挙げられます。有害ガスの充満による窒息、ガス爆発なども考えられるので、不用意に近づかないようにしましょう。作業の必要があれば、専門家に依頼しましょう。


13.精神、身体面の疲労に気を付けましょう
(解説)災害発生時は、精神的な負担と身体的な負担が合わさり、ストレスに起因する疾患やけがの発症の可能性が高まります。家族、近隣住民と支えあい、可能であれば、精神衛生の専門家と相談することがこれらの予防につながります。作業の優先順位をつける事、しっかりと休養をとることなども重要です。




謝辞:産業医科大学 産業医実務研修センター尾土井 悠先生にご協力いただきました。

2011年3月13日

作業に携わる方、そして被災者に破傷風のワクチンを お忘れなく!!

作業に携わる方や被災者には破傷風のワクチンが必要です。


地震、破傷風で検索するとたくさんの情報がえられます。
中越地震でも被災者に破傷風患者がでたようです。


こちらは感染症情報センターのサイトからの引用です。


「さらに10年毎に追加接種を行えば、防御抗体レベル以上の血中抗体価を維持する ことができると考えられている。しかし、定期予防接種の対象者である若齢者ではワクチンの接種率は70%を上回る反面、成人をはじめとする非対象者では、事故などの特別な理由がなけれ ば破傷風トキソイドワクチンを接種する機会は殆どないので、成人の多くは十分な破傷風抗体を保有していない状況である。」


これから救援に行かれる方は過去10年の間に接種がなければ破傷風ワクチンの接種と破傷風ワクチンの持参は必要です。


http://www.who.int/diseasecontrol_emergencies/publications/haiti_earthquake_20100118.pdf
http://www.who.int/features/qa/04/en/index.html


参考:感染症研究所.感染症情報センターのサイト
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_15/k02_15.html

カトリーナの教訓 時間がない今こそ過去の教訓に学ぶ

http://www.doh.wa.gov/ehsphl/epitrends/05-epitrends/05-09-epitrends.pdf


関連するところだけご紹介


1.食品
電気のない地域(冷凍も調理もできない)への食品の選択を
運搬ができないことで食べられなくなるおそれがある


2.医療ニーズの把握
トリアージを行い、インスリンの必要な人の把握などを直ちに行う
保健所などの公衆衛生機関は避難所の病気や環境のサーベイランスを
避難所における下痢、風邪、皮膚病などがもっとも起こりうるが予防ができる
2人以上の結核の発症などがあれば直ちに対応する


3.一酸化炭素
一酸化炭素の曝露がジェネレーター、キャンプストーブ、炭などを用いる場で起こりうる。
こうした機械は地下、車庫、また外気を取り入れる窓の近くにおいてはならない


4.潜在的な病気のアウトブレイク
下痢のアウトブレイクに注意
手を洗う、安全な食事の提供は必要であるが、災害の直後には難しい


5.けが
けがをした場合や作業に携わる人は破傷風の予防接種をしましょう(日本はしていますが
10年接種をしていないなら小さな傷でも追加接種をした方が良いということだと考えます)


6.ワクチン接種
災害救助に向かう人は破傷風と、ジフテリアのワクチン接種をすべきである
災害救助をする人でB型肝炎ワクチン接種をしていない人で体液に触れる可能性のある人はB型ワクチンを接種しましょう。

2011年3月12日

地震後の緊急の創傷ケア


地震の際と後は外傷のリスクが高いです。応急手当は小さい傷を回復させ、感染の可能性を減らすことができます。
破傷風はけがをしている人の潜在的な健康の脅威です。

もし次のような症状があればすぐに治療を受けましょう
・傷の中に異物がある
・感染するリスクのあるけが(犬にかまれた。泥のついたものが刺さった)
・古い傷が感染してきている(痛みの増加、腫脹、発赤、浸出液増加、または発熱)

小さな傷を治療する
・傷のあるところに装飾品や衣料品が触れないようにする
・石けんときれいな水が手に入るなら十分に洗います。
・指で傷を触れないようにする (可能な場合は、使い捨てのラテックス手袋を使用)。
・出血が続く場合は、しっかりと押さえる。可能であれば清潔な布またはガーゼを使用する
・止血した後は、傷をきれいにする
・汚れた傷、刺された、穿刺された傷は開いたままにします。正しくきれいにされない傷は感染します。
・痛み止めを必要に応じて使用します。

その他の考慮事項
・すべての傷が感染しえます。
・挫傷は切り傷よりも感染する傾向があります。
・海水などに触れた傷は感染するリスクが高まります
・土と砂との接触での傷の感染の可能性が増加します
・穿刺傷は衣類や汚れが入り感染しやすくなります。
・破傷風のワクチンを最近接種していない場合にはワクチン接種を相談しましょう。

津波の後の復旧作業における労働者の安全と健康を守る10の点~2004年インド洋津波に学ぶ~

津波の後の復旧に関わる労働者やボランティアの方は安全と健康を守るための対策を知り、実行する必要があります。作業者の中には経験がない人もいるので、互いに安全を確保しながら作業を進めます。

1.感電を予防します
自然災害の後に感電が起こりえます。感電を防止するために、清掃活動に参加する人は、次の手順を実行することが求められます。
電気回路や電気機器の近くに水がある場合には、メインのブレーカーまたはヒューズパネルの電源を切ります。電気は、専門の電気技師の確認が終わるまで入れません。もし電源がオフになっていることが確認されない場合には水のあるところに入らない、また地面のぬれているところで電気機器をさわらないようにします。絶対に切れた電線に触れないようにします。
電線が切れた地域での掃除などをする場合には、電気会社に連絡し、送電の停止などを行います。頭上の送電線の近くではしごなどを動かす際には特に注意が必要で、不注意な接触がないように細心の注意を払います。

2.一酸化炭素中毒を予防します
洪水の後の片付けには、ガソリンまたはディーゼルポンプ、発電機などを使用することがあります。これらの装置は、無色、無臭で致命的な「一酸化炭素」を発生するため、こうしたガソリンを用いる機械は屋外で使用し、屋内に持ち込まないようにします。

3.筋骨格系障害を予防します
片付けの作業により、手、腰、膝、肩などに深刻な筋骨格の障害を起こすことがあります。泥などを手で運んだり、建材を運んだりするときは特に腰痛への注意が必要です。こうした障害を予防するために2人以上のチームを使い、一人あたり20Kg以上のものを運ぶのは避け、機械を用います。

4.寒さ・暑さ対策をします
24℃以下の水につかったり、働いたりすると体の熱が失われ、低体温になります。低体温のリスクを減らすためにもゴムのブーツ、暖かい洋服、単独作業をしない、水の外に頻回に出る、可能な限り乾いた洋服に着替えるなどします。
 また、暑い季節には熱中症の対策も必要です。

5.地盤の不安定性を考慮します
洪水の水は、歩道、駐車場、道路などを破壊します。水によって破壊された建物や地面が安定していることを期待してはいけません。津波に持ちこたえた建物も倒壊の危険性があります。洪水で破壊された建物は専門家による確認の前に中や周りで働いてはいけません。もし建物が動いたり、変な音がしたらすぐに立ち退きます。また余震による倒壊にも注意します。

6.危険物を管理します
洪水の水には、タンク、ドラム、パイプなどからの重油、農薬などが含まれている可能性があります。消防署や自治体などとの連絡なしに不明なコンテナを移動しません。
潜在的に汚染された可能性のある地域での作業には、皮膚への接触や蒸気の吸入をさけるための適切な防護服を着用します。農薬やその他の有害な化学物質にさらされた可能性のある皮膚は頻回にしっかりと洗います。

7.溺水に注意します
たまった水に入ると泳げたとしてもおぼれる可能性があります。車の中にいる人が溺水する可能性も高いです。深さが不明の場所に車や重機で入らないようにします。単独作業の禁止や洪水の水がたまった近くで作業をする際にはライフジャケットを着用します。

8.保護具の装着と応急処置をします
浸水した地域での作業では、次の保護具が必要になります。
•ヘルメット
•ゴーグル
•手袋
•安全靴、防水ブーツ
チェーンソー、ブルドーザー、送風機、乾燥機などの機械からの騒音は、作業者の耳鳴りや聴覚障害をおこします。お互いに叫ばないと伝わらない場所では耳栓をします。
 また保護具をしていたとしてもけがややけどをすることがあります。汚染された水に曝露されると大変危険です。すべてのきずはきれいな水で洗いましょう。また、作業中の切創に対して破傷風の予防接種を確実にします。


9.閉鎖空間での作業には十分に注意をします
ボイラー、パイプライン、ピット、浄化槽、下水タンクなどの閉鎖空間では有毒ガスの発生、酸欠、または爆発の可能性があり死亡事故につながる可能性があります。多くの有毒ガスや蒸気は目に見えず、またにおいもないので、安全かどうかを感覚で判断してはなりません。
閉鎖空間には十分なトレーニングを積んでいなければ絶対に入ってはいけません。もし閉鎖空間に入る必要がありトレーニングを積んでいなければ消防に相談しましょう。
閉鎖空間とは、入口または出口が限られた範囲しかあいていない、不十分な自然換気、連続した作業のためのスペースが想定されていないといった場所が該当します。

10.ストレス、長時間労働、疲労を予防します
長時間の労働や、家が破壊されたり仕事を失ったりすることで非常に大きなストレスを感じます。このようなストレスにさらされている作業者はけがや感情的な事件がおこりやすくなり、またストレスに起因する疾患を発症しやすくなります。家族、近所の人、メンタルヘルスの専門家による支援はストレスに関連する疾患などの予防につながります。
疲労を予防するために、復旧や清掃の優先順位を設定し(日や週単位で)、身体的な疲弊を避けます。また、睡眠を十分にとり、休息をこまめにとり、疲弊しないようにします。


和田耕治