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2011年4月8日

ボランティア等が炊き出しをする際に知っておきたい10のポイント

1.避難所の責任者の了解を得た上で実施します
 衛生管理の責任者を決め,衛生的な食品の取り扱いに努めます。集団の食中毒が、起こりうる事を想定し、周到に準備します。

2.調理は衛生的な場所で行います
 食品の下処理は清潔な場所(水が十分に使用できる場所,食品が埃などを被らない場所)で行います。また現地で加熱調理します。

3.調理を行うときはこまめに手指を消毒します
 石鹸を使って丁寧に、こまめに手を洗います。調理の前、トイレの後、肉、魚、卵などを触れたあとは特によく手を洗います。水が使えない場所では,ウエットティッシュやアルコール消毒薬などを利用します。

4.十分に加熱をします
 食品の中心まで十分に火を通します。カセットコンロは火力が弱いので、十分に時間をかけます。肉などの生ものは自宅での調理以上に火を通します。

5.肉・魚等は冷蔵・冷凍など適切に保管します
 下処理した食品は,清潔に保管・運搬します。クーラーボックスや発泡樹脂性の保冷箱などを使います。

6.体調不良の人(下痢、発熱、腹痛のある人)、手指に傷のある人は調理などをしません
 食中毒の原因になりますので、休みをとらせ、炊き出しに参加させないようにします。炊き出しの前に事前にスタッフの健康について確認します。

7.できるだけ早く食べてもらいます

8.食事の内容に注意します
 食物アレルギーの可能性(特に鶏卵や乳製品、小麦、ソバ、エビ、落花生など)を考慮します。また、サラダやにぎり寿司のように傷みやすい食品の提供は控えます。

9.配るときは笑顔で元気よく渡します

10.片付けをきちんとしてします
 ゴキブリやネズミなどの害虫の発生の原因にならないようにします。

担当:江口尚・和田耕治

2011年3月26日

避難所の感染対策 ~ウイルス性胃腸炎編

 避難所のウイルス性胃腸炎で、とくに問題になるのは、ノロウイルスとロタウイルスではないかと思います。双方とも、ヒトへの感染力が強いために、しばしばアウトブレイクを引き起こします。すでに、一部の避難所ではウイルス性胃腸炎の流行がみられるとの情報もあり、今後、対策が急がれることになるかもしれません。

 避難所という集団生活の場において、こうしたウイルス性胃腸炎が流行した場合に、どのような感染対策を行えばよいのでしょうか? 院内感染対策を行ってきた医師の立場、そして新潟県中越地震の被災地支援に関わった立場から、ノロウイルスを中心にして考えてみたいと思います。

 なお、ロタウイルスへの対策もノロウイルスと同様だと考えていただいて結構です。異なる点は、ロタウイルスでは大人の症状は一般に軽いということ、一方、乳児では重症となりやすく、下痢が1週間近く続くこともあります。ですから、ロタウイルスの場合は、より乳児を重点的に守ることになります。

■  ノロウイルス胃腸炎の症状

 突発的な激しい吐気や嘔吐、下痢、腹痛を認めます。やがて寒気とともに38℃台の発熱を認めることもあります。こうした症状は1日か2日で軽快し、後遺症を残すこともありませんが、高齢者や乳幼児では、脱水がすすんで多臓器不全を来たしたり、吐瀉物を喉に詰まらせて窒息したりすることがあるので注意が必要です。また、高齢者では誤嚥性肺炎を続発することがあるので、下痢がおさまってからも見守りが必要です。つまり、健康な人にとっては、水分を摂取しながら安静にしていれば乗り越えられる病気とも言えますが、災害により体力の低下した弱者にとっては、いのちに関わる感染症となりかねません。

■ 避難所でできる下痢症の治療

 大部分の下痢症患者にとって、必要な治療とは「適切に水分を補給すること」だけです。大人であれば、ポカリスエットなど刺激のないジュースやお茶を飲み、ときどき塩分としてみそ汁や野菜スープなどを飲みましょう。子供(とくに5歳未満児)には「ORS(経口補水塩)」が理想的です。やはりスープなどによる塩分補給も大切です。母乳栄養児には母乳をそのままあげてください。

【ヒント】避難所で作るORS(経口補水塩)
 500mlのペットボトルを準備します。これに塩を小さじ1/4杯と砂糖小さじ3杯を入れて飲料水で満たします(正確である必要はありません)。もし、オレンジジュースがあれば100ml分を水の代わりに入れましょう。飲みやすくなり、下痢で失われがちなカリウムの補充にもなります。

 嘔吐しているからといって、水分を与えるのを諦めてはいけません。少量ずつでもよいので飲ませましょう。脱水もまた嘔吐の原因なので、適切な水分補充ができれば吐かなくなります。

 吐かずに水分が飲めるようになり、食欲が戻ってきたら、食事を徐々に再開しましょう。少しだけ塩を加えたお粥、バナナ、バターを控えたトーストなどが食べやすいようです。

 市販の下痢止め薬は、とくに子供には使わないようにしましょう。大人も避けるべきですが、頻回の下痢で眠れない、避難所のトイレが使いにくいといった事情があるのなら、夜間に限って下痢止め薬を使用することは妨げません。

 一方、市販の吐気止め薬は、添付文書に書かれている用法用量を守って使用することができます。ただ、やはり子供にはなるべく使わない方が安心です。

 本稿では重症者に対する医学的な対応については述べません。嘔吐や下痢とともに意識が朦朧としている、眠ってばかりいる、ぐったりしている、息苦しそうにしている、半日以上おしっこが出ていない、といった症状を認めた場合には、避難所での療養継続は危険かもしれません。必ず医療機関を受診させるようにし、医師の指導に従ってください。

■ ノロウイルスの感染経路

 ノロウイルスは感染している人の腸内で増殖し、その吐物や便を介して感染伝播します。具体的には、感染している人が調理した食品を食べることによる伝播(食中毒)と、感染している人の吐物や便を直接触れてしまうことによる伝播(接触感染)と、吐物や便が乾燥して飛散することによる伝播(空気感染)とに大別されます。ですから、食品の安全を確保することと、症状がある方の便や吐物を確実に処理することが感染拡大防止の目標となります。

 残念ながらエタノールではノロウイルスを消毒することはできません。次亜塩素酸ナトリウム溶液(作り方のヒントを後述)が有効ですが、手指の消毒を含め人体には使えません。よって、ウイルスの除去は流水による手洗いが原則となります。

■  ノロウイルスの感染対策

 では、具体的な感染対策のポイントを整理してゆきます。もちろん、すべての対応をすることは困難だと思います。避難所ごとに状況は異なるでしょうから、現場で判断していただくしかありません。以下を参考として、できることがあれば取り組んでいただければと思います。

1)    食中毒を予防する

○  下痢や嘔気のある方、発熱している方は、避難所における食品の配布や調理に関わらないようにする。漠然と「下痢をしている人は申し出てください」ではなく、食品を取り扱う前に下痢をしていないか、発熱していないか、ひとりひとりに確認するのが望ましい。
○  食品を扱う人は、なるべく石けんを使用し、十分な手洗いをしてから作業に入ること。また、作業の途中にトイレに行った場合にも、必ず手洗いをしてから再開すること。
○  生鮮食品(野菜、果物など)は十分に洗浄し、食材はなるべく加熱調理(85℃以上で少なくとも1分間)する。
○  調理器具、容器は清潔に保つこと。とくに下痢症が流行しているときは、食器の使いまわしは避ける。

2)有症者用トイレを管理する

○  屋内の女性用トイレなどを、性別によらず有症者用のトイレとして限定し、他の人が使用しないように隔離する。
○  流水と石鹸による手洗いを徹底。小便、食事前の手洗い、歯磨きなども、この隔離された有症者用トイレに限定する。嘔吐するのも(可能な限り)このトイレ内でと呼びかける。
○  このトイレは徹底して水洗いによる清掃を続ける(1日2回以上)。ドアノブ、蛇口など直接手が触れる可能性のある場所については、次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)を600ppmに薄めた溶液をペーパータオルなどに染み込ませて清拭する。
○  乾燥した便や吐物が飛散しないよう、なるべく湿潤な環境とし、とくに床面を乾燥させない。
○  トイレのドアはなるべく閉めておく。外側の窓は空けてもよいが、空気が屋内に流れている場合には閉めた方がよい。

【ヒント】 600ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液の作り方、使い方
 500mlのペットボトルを準備します。ペットボトルのふた1杯(5ml)のハイター(次亜塩素酸ナトリウム6%)をペットボトルにいれて、残りを水で満たしたら600ppmとなります。この溶液を扱うときは、できるだけ手袋をしてください。もし、溶液が手に直接ついてしまった場合には、流水でよく洗ってください。

3)適切に吐物を処理する

○  吐物を認めたら、乾燥する前になるべく早く処理をすること。
○  処理をはじめる前に、処理にあたる人以外の方を遠ざける(3メートル以上)。
○  処理にあたる人は、できるだけ手袋・マスクを着用する。
○  吐物のなかのウイルスを飛ばさないように注意しながら、ペーパータオルなどで静かに拭きとる。
○  吐物で汚染された場所を、600ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液でひたすように拭き、その後、水拭きする。
○  使ったぺーパータオルなどはビニール袋に入れ、しっかり閉める。ビニール袋のなかに、廃棄物全体が湿るぐらいに600ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液をかけておく。
○  作業が終わったら、流水と石鹸による手洗いをしっかり行う。
○  可能であれば、この作業は、4)で述べる免疫のある方が行う。

4)適切に汚染された衣類を洗う

○  便や吐物で汚れた衣類は大きな感染源となるので、他の衣類と一緒に洗わないこと。
○  洗う人は、できるだけ手袋・マスクを着用する。
○  バケツなどで、汚れた衣類を水洗いし、更に600ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液を半分程度に薄めてように注いで消毒する(ただし色落ちします)。
○  この作業は上述の有症者用のトイレで行うことが望ましい。
○  可能であれば、この作業は、4)で述べる免疫のある方が行う。

5)免疫のある方を活用する

○  下痢など急性胃腸炎を発症し、すでに症状が改善している方は、基礎疾患がある方を除きノロウイルスに免疫があると考えることができる(少なくとも2ヶ月は持続)。
○  避難所の衛生管理における貴重な人的資源であり、有症状者へのケア、トイレを含む避難所内の清掃、リネン類やゴミの取り扱いなどに積極的に協力していただく。
○  下痢がおさまってからも、便中のウイルス排泄は長期に(1週間以上)続くこともあり、流水での手洗いは徹底させる。トイレも有症者用トイレを使用すること。
○  少なくとも症状消失後2週間(できれば1ヶ月)は、避難所の食品の配布や調理に関わらないこと。

6)症状のある方とない方の接触機会を減らす

○  下痢や嘔気などの症状がある方は、どんなに症状が軽くとも、避難所内を歩き回らないように心がける。とくに、テレビのリモコン、ライトのスイッチ、ドアノブ、掲示物などの共有物を触らないようにする。
○  症状のない方は、屋内の男子用トイレや屋外の仮設トイレなど、その他のトイレを使用し、前述の有症者用トイレを使用しないようにする。
○  症状のない方も、症状のある方と同様に、避難所内を不必要に歩き回らないようにする。また、テレビのリモコン、ライトのスイッチ、ドアノブ、掲示物などの共有物を触った場合には、できるだけ流水で手を洗う。
○  症状のある方と会話をしたぐらいでは感染しないので、過剰に排除しないようにする。

■  おわりに

 以上、避難所における感染対策について、比較的厳格な考え方で解説しました。

 さらなる感染対策を試みるならば、上述の有症者用トイレに近いエリアを「有症者世帯エリア」として空間隔離するという方法もあります。つまり、症状のある方のいる世帯を集合させ、それ以外の世帯と分離するということです。避難所内でモザイク状に有症者が寝起きしているよりは、感染拡大の速度を遅くできるかもしれません。

 しかし、感染症医の立場から正直に申し上げると、あらゆる厳格な対策を試みたとしても、拡大の速度は遅くなるにせよ、一緒に寝起きしている限り感染を確実に回避することは困難だと思います。限られた(空間的、物質的)資源を浪費するよりは、乳児など感染させたくないハイリスク者を避難所外へ移動させることを考えた方がよいかもしれません。

 有症者を分けるという感染対策が避難所の団結を阻害したり、有症者を出した世帯に対する偏見を招来することがないよう、避難所の担当者の方は注意してください。避難所において、対策と称して有症者を分離し、そして恐れ、支援の手が疎かになるとすれば、それは明らかな対策の失敗です。ここに書いた私の本意でもありません。

 怒涛の勢いで侵攻してくる病原体を前にして、人間様がバラバラでは勝ち目はありませんよね。団結とは、感染対策における最優先事項でもあるのです。ウイルス性胃腸炎への感染対策は、平時の医療機関においてすら困難なものです。現場の方々は、ほんとうにご苦労されていると思います。ここで私が書いたことが少しでも参考となるとすれば幸いです。

高山義浩(沖縄県立中部病院)

2011年3月21日

避難所生活改善のために知っておきたい10のポイント~阪神・淡路大震災の教訓より~


1995年の阪神・淡路大震災の報告書より、避難所生活を改善するための教訓を整理しました。

1.仮設住宅や避難所を自らの手で守るための組織を作ります
仮設住宅や避難所における衛生対策や、高齢者、こども達、妊婦のサポートなどを行う組織を住民が主体となって作ります。こうした組織が自然発生的にできない場合も多く、また組織がないと様々な点について課題が生じます。支援に入った団体は、地元自治体の応援も得ながら住民が主体的な組織作りができるように協力します。また仮設住宅や避難などで組織が崩れることがあるので組織の状況を定期的に確認します。

2.トイレの衛生状態を定期的にチェックし、清潔に使用できるようにします
トイレが不潔な状況では、被災者の不満や怒りが増幅します。また、トイレに行くのを我慢するために、飲食、水分を控える人が出ます。さらに、敷地外の公園などの茂みの中に汚物が放置されたり、トイレの中が水浸しになり、その足で各部屋に出入りするなど、避難所では予期しないことが発生します。
・自主的に清掃担当者を決め、定期的に清掃し、仮設トイレの消毒作業をして下さい。
・下痢を起こす感染症の予防のために、排便後・糞便処理後は、十分に手洗いをします。
また、数に余裕があれば小便用と大便用、さらに下痢をしている人のトイレなどを分けることも対策になります。男女分けるのは早期から行うことが望ましいです。トイレは避難所などの組織の鏡とも言えます。トイレの衛生状況をバロメーターとしながら自主的な組織の運営を支援します。

3.食事を適切に管理します
 「次にいつ配食があるか分からない」という不安感や、炊き出しによって確保した食糧を長期間保存する人も出てきます。不衛生な食事は、食中毒の原因となります。
・製造日などを確認します
・製造者名や製造日付などの無い弁当や賞味期限切れのものは配食しません
・配色前には味、臭いなどに異常の無いことを複数の人数で確認します
・食品、特に弁当類は衛生的な場所に保存する、また、直射日光や暖房されている場所での保管はさけ、ネズミ、ゴキブリ等の害を受けない場所に保管します。
・調理器具の洗浄、消毒や使い捨て食器の使用、アルコール消毒液の利用を促します
・保存に適した炊き出しメニューを選定します

4.持病のある方や、乳幼児は、栄養管理を積極的にします
阪神・淡路大震災では、被災2ヶ月後の健康診断で、中性脂肪値の上昇や、貧血、高血圧傾向が確認されました。原因としては、食事のバランスの悪さ、糖質、脂肪、塩分過多、鉄、ビタミン不足等が考えられます。避難所での炊き出しをきっかけとして、栄養改善への意識付けや自発的な食事への取り組みを促します。さらに、栄養士が指導にあたると効果的です。
アレルギー患者へのアレルギー用食品の配布、糖尿病患者への支援、乳幼児栄養相談も行います。食事は生活において極めて重要ですので可能な限りバランスよく充実させることが求められます。
・限られた食料で可能な限り栄養士などの指導を受けバランスを良くします。
・炊き出しをするときには、塩分の量など調理内容に気をつけます。
・食生活への関心を持ち続けることができるように、食事内容に変化を持たせます。

5.飲料水を安全に保管します
・給水を受けたポリタンク等には配給日時を明記します。
・古くなった水は生活用水等に用い、飲用に使用しません。
・飲水にはできるだけペットボトル入りのミネラルウォーターを利用します
・水道管の破裂箇所からの噴出水や湧水等は飲用に用いません。
・井戸水については、水質調査を行ってから使用します(近くの鉱山にあったヒ素などが微量検出された例がある)。

6.定期的に毛布の日干し、通風乾燥、寝具交換をします
避難所での生活が長引くにつれて、敷きっぱなしの毛布等は汚れ、湿気を含み、特に幼児、高齢者には健康への影響が懸念されます。また、阪神大震災の際には、雨天の多くなる5-6月に入るとダニ苦情等が発生しました。
・晴れた日には毛布の日光干しや通風乾燥を行います。
・利用可能であれば、布団乾燥機を用いて定期的に乾燥を行います。
・高齢者にとって重労働である寝具交換などは、積極的に手伝います。

7.飲酒や喫煙のルールを定めます
避難所生活が1ヶ月を過ぎた頃より飲酒が公然となってきたことが報告されています。
・飲酒や喫煙の広がりを予防するために、ルールを定め、避難所の掲示板などで周知し、皆で守るようにします。

8.周辺の環境衛生の維持を行います
気温の上昇にともなってネズミやゴキブリなどが課題となります。
・ゴミを捨てる場所を定め、ネズミやゴキブリが発生しないように管理します。
・定期的に清掃をし、食べ物や残飯などを管理します。
また、このほかに蚊、ムカデ、ナメクジ、アリ、鳩などの害も発生しうるため発生する可能性があれば早めに対応します。

9.結核にも注意します
阪神・淡路大震災では、被災地の一部が結核罹患率の高い地域であったことや避難生活の疲労やストレス等により、結核患者が増加すると予想され、総合的な結核対策が推進されました。また、乳幼児に対する結核予防のためのBCGの予防接種が、優先的に再開されました。結核対策には、予防、早期発見・早期治療が重要です。
・行政が実施する結核対策には積極的に協力します。
・乳幼児に対するツベルクリン反応やBCG予防接種が再開されたら、必ず受診します。
・咳が2週間以上続く、痰がでる(痰に血が混ざる)、体がだるい、微熱が続く時には早めに医師や保健師に相談するよう促します。

10.ペットの扱いにも注意します
阪神大震災時の避難所では、ペットを連れて避難した人もいて、ペットをめぐるトラブルがありました。ペットの問題は災害時の行政施策としての優先度低いですが、放置すると新たな問題が発生します。
・避難所での犬や猫の飼い方についての啓発をします。
・被災動物の保護、治療、相談、一時預かり等の問い合わせ先を紹介します

参考:阪神・淡路大震災 神戸市災害対策本部衛生部の記録
大震災下における公衆衛生活動(大阪大学医学部公衆衛生学教室)
(http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/book/10-315/index.html)
担当:江口尚、和田耕治

2011年3月15日

簡易トイレもない被災地の担当者が知っておきたい7つの基本原則

1.衛生状態の維持のためにできるだけ早期にトイレを設置しましょう。
 津波災害において糞便は衛生状態の維持に対する最大の驚異であり、速やかなトイレ設置は極めて重要な課題です。トイレの設置がおくれて不潔な状況が生じると被災者の衛生意識も低下しがちになってしまいます。

2.被災直後に最も実用的なのはトレンチ式トイレ(溝式トイレ)です。
 いわゆる溝を掘っただけのトイレです。可能であれば足場や手すりを設置しましょう。溝の大きさは深さ1m、幅75cmとすると利用被災者50人あたり長さ3.5mが目安となります。しかし、溝掘りは相当な重労働ですのでまずは可能な範囲で溝や穴を掘って対応し、順次、拡張していくのが現実的でしょう。ただしトイレの溝掘りは大変ですので、できれば当初から余裕をもって設置することが勧められます。可能であれば重機の利用を検討してください。

3.設置にあたっては生活水源の汚染予防に留意しましょう。
 トイレの設置にあたってはプライバシーのみならず、生活水源が汚染されないという点にも十分に留意しましょう。トイレを優先的に整備する目的は水質汚染源の汚染防止にあるといっても過言ではありません。なぜならば津波災害後には下痢症などが流行することが多く、その原因としてもっとも多いのは糞便による水質汚染だからです。

4.糞便には殺菌消毒薬を直接注がないようにしましょう。
 細菌による分解が遅れてしまいます。 悪臭や害虫対策には灰・油・土が有効です。用便のたびに土等をかけ、溝が縁から30cmの所まで一杯になったら土をかけて固めましょう。

5.トイレ用地計画
 用地としては 1カ所以上の区域(例:20m×20m)を住居から離れた風下の、通うのに不便がない程度の近さに選定しましょう。区域は男女別に指定しましょう。この区域に排泄場所を設け、入り口の一番遠くから順に使用します。トイレは夜間も使え、女性や子どもも安全に利用できることにが必要です。場合によって子供や障害者用の区域を別途選定することも検討しましょう。用地面積の基準は1日1人あたり0.25平方mです。上記の例は50人が1ヶ月利用を想定した面積です。使用期間が1ヶ月を超える場合は新たな用地を選定しましょう。

6.被災者向けに広報活動を行ない排泄区域の利用をうながしましょう。
 トイレは使用が可能であっても、清潔でなければ使われないため、毎日、点検し、必要に応じて清掃することが必要です。特に住居や給水設備付近では排泄しないよう呼びかける必要があります。また手洗い場所を近くに設けましょう。石けんの利用が可能であればなお好ましいと考えられます。
ただしトイレや手洗い場の設置にあっては飲用や調理に利用する水が汚染されないことに十分留意する必要があります。

7.トイレットペーパーについて
 トイレットペーパーの不足は大いに困る問題で、過去の震災でも幾度も指摘されています。これから被災地に入る方は被災者のためにも十分量を持ち込むとよいでしょう。日本の歴史的には紙以外にワラ・葉っぱ・木などの棒・石などが利用されることがあったそうです。支援物資が届くまでの間、入手可能な物資で乗り切ることが求められます。


産業医科大学公衆衛生学 久保達彦
[ 参考資料 ]
JICA国際緊急援助隊医療チーム中級研修資料
UNHCR緊急対応ハンドブック

2011年3月14日

生活のための飲料水の担当者が知っておきたい8つのこと

水の確保提供は被災者支援のトッププライオリティ-です。

1.  水質に配慮しつつ量の確保を優先します

2.  災害発生後数日の一人当たりの必要水量は水5-7L/日ですが、できるだけ早期に一人当たり15-20L/日の水を確保します。

3.  水が不足する状況では給水車からの水は飲用水として優先利用し、生活用水としては自然水源の利用を考慮しましょう

4.  理想の自然水源は湧き水ですが雨水も比較的清潔です。海水も飲用以外にはほとんどすべての用途に使用可です(ただし津波注意報が解除されていることが利用の前提になるでしょう)。一方、河川・池・湖・貯水池などの水質が飲用に耐えることはめったにありません(飲用不可)。

5.  どうしても飲用水が不足する場合、自然水源(湧き水か雨水が理想)を飲用水として利用することになりますが、この場合、浄化(不純物を取り除くくこと)と殺菌の処理が必要になります。(濁り水・不透明な水は基本的に飲用に耐えません。浄化が必要です。)

6.  浄化の最も簡単な方法は容器・タンクに貯水して上澄みを得ることです。混濁の程度によりますが、12-24時間貯水しておくだけでも水質は大幅に改善します。

7.  殺菌処理として最も簡易かつ有効な方法は煮沸(1分程)です。

8.  入手可能であれば浄水殺菌剤(塩素やヨード)を利用しましょう(自治体で備蓄されている場合があります)。

給水システムの安全性を最も脅かすのは糞便による汚染です。トイレの管理を同時に進めましょう(他項:避難所のトイレに関する基準参照)。


参考文献: UNHCR緊急対応ハンドブック等
産業医科大学公衆衛生学 久保達彦

2011年3月13日

カトリーナの教訓 時間がない今こそ過去の教訓に学ぶ

http://www.doh.wa.gov/ehsphl/epitrends/05-epitrends/05-09-epitrends.pdf


関連するところだけご紹介


1.食品
電気のない地域(冷凍も調理もできない)への食品の選択を
運搬ができないことで食べられなくなるおそれがある


2.医療ニーズの把握
トリアージを行い、インスリンの必要な人の把握などを直ちに行う
保健所などの公衆衛生機関は避難所の病気や環境のサーベイランスを
避難所における下痢、風邪、皮膚病などがもっとも起こりうるが予防ができる
2人以上の結核の発症などがあれば直ちに対応する


3.一酸化炭素
一酸化炭素の曝露がジェネレーター、キャンプストーブ、炭などを用いる場で起こりうる。
こうした機械は地下、車庫、また外気を取り入れる窓の近くにおいてはならない


4.潜在的な病気のアウトブレイク
下痢のアウトブレイクに注意
手を洗う、安全な食事の提供は必要であるが、災害の直後には難しい


5.けが
けがをした場合や作業に携わる人は破傷風の予防接種をしましょう(日本はしていますが
10年接種をしていないなら小さな傷でも追加接種をした方が良いということだと考えます)


6.ワクチン接種
災害救助に向かう人は破傷風と、ジフテリアのワクチン接種をすべきである
災害救助をする人でB型肝炎ワクチン接種をしていない人で体液に触れる可能性のある人はB型ワクチンを接種しましょう。

2011年3月12日

津波後の食中毒予防 米国CDCサイトの翻訳

かつて能登半島地震ではノロウイルスが流行しました。
先駆けた予防策の展開が期待されます。

食品を介した病気を予防するために、食事の前や食事の準備する前、トイレの後など
にきれいな水と石けんで手を洗いましょう。きれいな水がない場合は、きれいな水が
手に入るまで水が不要な手指消毒剤を使用します。

食品は缶詰など防水の容器で封印されていなかったなら、海水や川の水などに汚染されたものを食べてはいけません。
汚染された食品はすべて廃棄します。

壊れていない市販の缶詰食品は保管できます。ラベルをはがし、石けん水などで缶を洗い、コップ 1 杯 (約 0. 25 リットル) の家庭用漂白剤 (5. 25 %)を約20Lの飲水可能な質の水で作成した消毒剤で缶を徹底的に消毒します。さらに、マーカーで内容と有効期限を記載します。

スクリューキャップ、スナップの蓋、圧着キャップなどの容器に入った食品ですでに
開けていたものは消毒できないので廃棄します。

乳幼児の食事
母乳ではない場合は、すでにミルクとして作成され密閉されたもののみを
使用します(追加の水が必要でないもの)。(注:そういうものは市販されてましたっけ?ぜひあるようなら現地に届くといいですが)

食品を冷やす (現在当該地域は寒い関係で不要か?現段階では訳さず)

冷凍食品
冷凍食品は「冷蔵庫」程度に冷やされていればたいてい食べれますし、さらに冷凍できます。
安全のためにもしあやしいと思ったら捨てましょう。食品で室温で2時間以上放置されて
いたり、においがきついなどあれば廃棄しましょう。(注:かつてのアジアの津波のような地域が想定されているからでしょう)