2011年3月14日

災害現場で活動する時の5つのポイント


災害現場で作業していると、自分自身の精神や身体の状態をチェックすることの必要性を忘れがちになります。しかし、自分自身を守ることは、現場で作業に集中するためには必要なことです

1.自分のペースを守りましょう
災害現場での作業は数日から数週間におよぶ長丁場です。健康を保つために、可能な限り規則正しい生活をしましょう。特に、規則正しい食事や睡眠は極めて大切です。無理をせずチームのスケジュールや交代時間を守りましょう。

2.頻繁に休憩を取りましょう。
災害現場は危険ですから、長時間作業することによる精神的な疲労は、ケガの原因になります。意識的に、できれば作業現場から離れた場所で休憩を取るように心がけましょう。特に、飲食するときには、できるだけ清潔な場所を探しましょう。

3.水分・栄養をしっかりとりましょう。
水やジュース等で水分を充分にとるように心がけて下さい。また、健康を保つために、いろいろな食物を食べるようにしましょう。特に、炭水化物を多く摂るようにしましょう。

4.他のメンバーにも注意しましょう。
あなたの同僚は作業に熱中しすぎて、危険が迫っているのに気付いていないかもしれません。

5.自分のメンタルヘルスに気を配りましょう。
(1)指揮命令系統や組織、設備の故障など、どうしようもないトラブルを抱えると、ストレスに感じてしまうことがあります。変えようがない事実があるということを認識し、受容することが必要です。
(2)人に何かを話したいと思った時には、できるだけ話をするようにしましょう。自分の経験したことについて話をするタイミングは自分で決めることが大切です。ある出来事について話をすることは、その出来事を追体験することになる恐れがありますので、どこまで話すかは自分で決めて下さい。
(3)自分がふさぎ込んだ気持ちになることを許してあげて下さい。今あなたは困難な状況にあるのですから。
(4)同じような考えや、夢、フラッシュバックが繰り返しおこるのは当然のことです。それらと戦おうとしないで下さい。これらは、時間をかけて減少していきます。
(5)できるだけ頻繁に、家族や友人とコミュニケーションを取るようにしましょう。
(6)公的なメンタルヘルスサポートがあれば、利用してみましょう。

災害現場で作業をする人は、重傷の人々(子供や大人)と接したり、死体や体の一部を見たり、同僚の死を経験したりすることによる、いわゆる「トラウマ」を経験する可能性があります。

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参考
トラウマは、経験した時だけでなく、数週間や数ヶ月経った後にでも、仕事をする能力を低下させてしまうような非常に強い症状を生じることがあります。具体的には、以下のような症状が考えられます。

・身体の症状
胸痛、呼吸困難、ショック症状、疲労、嘔気/嘔吐、めまい、発汗、動悸、のどの渇き、頭痛、視覚障害、歯ぎしり、身体の痛み

・認知に関する症状
錯乱、悪夢、見当識障害、過度な/低すぎる用心深さ、集中力低下、記憶力の低下、問題解決能力の低下、よく知っている事柄や人のことが分からなくなる

・感情の症状
不安感、罪悪感、悲嘆、否認、重篤なパニック発作、恐怖感、イライラ感、感情がコントロールできない、抑うつ気分、挫折感、自責感、他人を責める気持ち

・行動の症状
強度の怒り、引きこもり、感情の爆発、食欲不振/過食、酒量の増加、じっとしていられずうろうろする、性機能の変化

※特に、胸痛、呼吸困難、ひどい痛み、ショック症状(浅い呼吸、脈がはやい、脈が弱い、吐き気、身体のふるえ、皮膚が青白く湿っている、錯乱、瞳孔が開くなど)があった場合には、大至急医療にかかるようにしましょう。

強い感情は異常な状況において「普通の反応」であることを覚えておきましょう。
ご担当いただいた先生方
多田隈潔・西本真証・石丸知宏 産業医大産業医実務研修センター
黒石真紀子 西日本旅客鉄道株式会社 健康増進センター
荒薦優子 三菱電機(株)
田中優子 和歌山労災病院 脳神経外科
河津雄一郎 平和堂統括産業医
どうもありがとうございました。


参考
http://www.cdc.gov/niosh/docs/2002-107/pdfs/2002-107.pdf

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