2013年3月4日

職場での対策に必要なPM2.5の知識



職場での対策に必要なPM2.5の知識

最低限の知識
・職場におけるPM2.5対策は、健康な人も含めて濃度の高い際に行う対策と、呼吸器や循環器の持病のある人が特に心がける対策がある。
・濃度については報道などで確認をし、高い日はできるだけ外出を控える。
・追加の対策としては、マスクを装着する、空気清浄機を用いる、といったことがあげられる。どれも一つだけに過信せず様々なことを複合的に行う。
・持病のある人は対策を強化する必要がある。症状(呼吸苦、胸が痛いなど)がもしでた場合には通常通り医療機関を受診する。
・いろいろと過剰な宣伝をしているグッズなども見られるので購入の際には効果などをよく検討する。
・喫煙をしない、タバコのけむりを吸わないことも実は大事な対策。(もともと様々な有害な粉じんが大量に含まれている)受動喫煙対策の重要性の方がもっと強調されるべき。

PM2.5とは
PM2.5は、大気中に漂う粒径2.5μm1μm=0.001mm)以下の小さな粒子。
・従来から環境基準が定められてきた粒径10μm以下の粒子である浮遊粒子状物質(SPM)よりも小さな粒子。
PM2.5は粒径が非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器や循環器疾患を起こす。これまでの研究では、短期的な影響として喘息患者の発作や咳などの症状が悪化や、心疾患や肺疾患で入院する患者が多くなるという報告がある。

PM2.5の濃度を確認する
PM2.5の濃度が特に西日本など濃度が高くなるような地域では測定や予測が今後される。そうした情報を得て、警報などがでている時には次に示す対策を行う
・例:環境省のそらまめ君というサイト http://soramame.taiki.go.jp/

PM2.5の濃度が高い時の対策
PM2.5の基準は1日平均値で35μg/m3以下が健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましいとされた。また、環境省は暫定ガイドラインとしてその倍の70μg/m3
を超える場合には外出を控えるように警告するとした。
・濃度が高い時の対策として優先すべきことは、できるだけ外出を控える、野外での運動は控える。
・健康な人も必要だが、特に呼吸器疾患(例:喘息やCOPD)や心疾患(心不全、心筋梗塞の既往、バイパス手術後など)を持病として持っている方は特に注意を。濃度が高い時には窓をできるだけ開けない。
・空気清浄機を用いることも検討に値する。注意が必要なのはオゾンを発生させる機能があるものは室内のオゾン濃度も高めるため避ける。空気清浄機も対策の一つに過ぎない。窓を閉め切ったりしたとしても外気は至る所から侵入するため。
・オフィスの中はビル管理法によってPM2.5も含む粒径の浮遊粉じんは0.15mg/m3以下と定められている。空気の取り入れる量やフィルターなどについてもビルによって異なる。

N95マスクや防じんマスクDS2といった高機能のマスクの着用が推奨されているがいろいろと課題がある。
・これらの高機能マスクは、産業現場の粉じん作業や医療従事者が使うことが想定されている。装着が難しく、顔とマスクの間に隙間ができると期待される効果が得られない。
・本来はフィットテストという方法で顔に合うか確認が必要だが、一般の方ができる場はほとんどない。また装着すると呼吸がしづらくなり長時間使うことが難しく、持病のあるような方は特に装着することが難しいので実践的ではない。
・いろいろな状況を想定して企業として自主的な準備をするということであれば選択肢としてあげられます。なお、粗悪なものや、過度な宣伝をするようなものもでているので注意を。
・装着方法のビデオ http://www.youtube.com/watch?v=lGt_qDiD96s

・花粉症対策としても用いられる不織布製マスク(サージカルマスク)は、残念ながら粒子のサイズが小さいこともあり顔とマスクの間から吸い込んでしまいますのでないよりは良いかもしれませんが、過信をしてはいけない。

喫煙しない(もともと有害な化学物質と粉じんを吸うことになる。)
・部屋の掃除も重要
・夏場は部屋が暑くなるので注意が必要。さらに濃度が高くない時は換気などをすることは通常通りする

PM2.5にばく露されることでおこりうる症状 
・健康な人であっても、PM2.5の高い濃度にばく露されると目、鼻、のどの刺激症状、咳、痰、息切れなどを感じることがある。そうした際には空気質の良い場所に移動する。
・喘息やCOPDのある方は、もし呼吸がいつものように深くできなかったり、咳、痰、疲労感などを感じることがある。普段からの治療により最善の状態を保つことが重要。症状が続いたり悪化した際には医療機関を受診する
・心疾患のある方は、注意が必要。もし、胸部の圧迫感や痛み、冷や汗、呼吸苦などがあれば通常通りすぐに受診する。

コメント(医療従事者向け)
・「小さなリスクを大きくみる、大きなリスクは小さく見る」という傾向が背景にあるように思われる。どの程度の死亡者や入院者が増えるかは不明であるが、受動喫煙対策などもっと普段から力を入れる分野がたくさんあるはず。
・自然災害よりも人的災害の方が心情的に大きな影響があるが、中国から人的災害のような感じで被害を受けているという認識からやや過剰に反応されている傾向もあるように思われる。
・バランスのよいリスク認知と対策をどのように行うかが今回も対策として重要。

参考文献
  在北京米国大使館


http://beijing.usembassy-china.org.cn/20130201-pm25-steps.html
 

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