2011年3月16日

被災地の妊娠・出産された方が知っておきたい10のこと

1.こまめに、十分な水分を取ります
 尿が15回以上出れば水分は足りていると考えて良いでしょう。脱水はいかなる場合でも避けなければなりません。腎臓に病気がある人以外は、水分を取りすぎてむくむことは、あまり考えなくて良いでしょう。

2.避難所の管理者などに妊娠している(可能性がある)ことを伝えます
 妊婦はしっかりとした栄養と多めの水分を割り当ててもらう必要があります。がまんして状態が悪くなると、周囲にさらに負担がかかります。遠慮せずに伝えます。医師や保健師にも早めに伝えます。

3.手足を動かして運動し、同じ姿勢でじっとしないようにします
 出産前は出血に備えて、血が固まりやすい状況になっています。同じ姿勢で長時間いると、血管の中で血が固まって、肺や脳の血管を詰まらせて重篤な症状になることがあります(エコノミークラス症候群)。定期的に手足を動かすようにします。足先だけでも動かすとよいです。

4.石けんを用いて良く手を洗います
 下痢やかぜ、インフルエンザなどの予防に手洗いは重要です。

5.みんなで咳エチケットを守ります
咳をしている人はマスクをします。狭いところで多くの人が過ごすため、感染が広がりやすくなります。

6.悲しい気持ちになったら周りの人に話します
あなたは一人ではありません。一人で耐えなくてもいいのです。話すだけでも楽になりますし、何かの解決法が見つかるかもしれません。

7. 持病や常用薬がある場合は、医師や保健師に伝えます
 早めに対処することで、悪化を防ぐことができます。治療が必要な状態になると、他の人の負担になります。遠慮せずに伝えましょう。

8.かかりつけ医にこだわらずに、妊婦健診を受けましょう。
 定期的なチェックは元気な赤ちゃんを産むためにも、とても大事です。

9.陣痛、出血、破水などの場合は、直ちに病院へ行きます。
 通常の出産の時と同じです。動けない、症状が強いなら救急車を使ってもかまいません。

10.赤ちゃんには十分な母乳またはミルク(水分なら何でもOK)をあげましょう。
 赤ちゃんが元気で尿が出ていれば、水分は足りているでしょう。しかし、赤ちゃんは脱水になりやすく、自分で訴えることができません。非常時は母乳やミルクにこだわらず、水分をあげましょう。ただし、水分は煮沸したものやペットボトルに入った水を用います。

太田寛(日本産婦人科学会専門医、北里大学医学部公衆衛生学)

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