2011年3月17日

大事な子供たちの心の傷をいやすために知っておきたい4つのポイント

 大事な子供たちにとって、予測できない震災によってもたられた、被害やケガ、死を理解することは、困難です。平穏な世界観がゆらぎ、また同じような恐ろしい目にあって、家族や友人を失うのではないかと恐れ、大きなストレスを感じています。
 ストレスに対してすぐに反応する子もいれば遅れて反応する子もいて様々ですが、みな何が起こったのか、自分がどう感じているのか、混乱しています。子供の反応は親や周りの大人がどう反応するかに強く影響されるので、その子の発達段階に応じた適切な対応が求められます。
 子供たちを守るためにもまずは親自身が恐れや怒り、無力感などの自分の感情と向き合い対処して子供たちに十分なサポートができるようにしなければなりません。これも大変つらいことですが、ここから始まります。
 なんとかなる、一緒に乗り越えられるという前向きな態度で、わが家の状況、例えば彼らの学校、親の仕事、家の修繕などが、順調によくなってきていることを伝えてあげてください。これらの働きかけが子供たちに安心を与え心の傷の回復を助けることになります。


1.子供のストレスサインは発達段階によって異なります。 
 子供のストレスの反応は次のようなものがあります。

〈未就学児〉
 夜泣き、寝つきが悪くなる、赤ちゃん返り、普段以上にまとわりつく、ぐずりがち、お腹が痛いなどの身体症状の訴え、お気に入りの遊びに興味を示さない

〈小学生、中学生〉
 不合理な不安感、つまらないことにひどく腹を立てる、悪夢、学校での問題行動、不登校、頭痛や腹痛などの身体症状の訴え、普段楽しんでいた活動を楽しまない、破壊的な行動、感情鈍麻、災害時の自分の行動に対する羞恥心、罪悪感

〈高校生〉
 災害に対して過剰に反応する、罪悪感、被災者に対して天罰だと考える、普段楽しんでいた活動を楽しまない、集中できない、衝動的な行動、感情鈍麻、この世を安全でない場所だとみなす


2.子供の心の傷をいやすために親たちができること
・子供の気持ちを否定せずにどんな気持ちでいるのか話し合う
・彼らの感情が他の人と違っていてもいいのだと教える
・災害が起こったのはあなたのせいではないと安心させる
・元気にふるまうように強いない
・質問に対しては少しの情報だけ与える(あまりに多くの情報は混乱させるので)
・事態を理解させるのにゆっくり時間をとってあげる
・日常の規則正しい生活に戻す
・愛情が伝わるように抱きしめる
・眠るときに電気をつけたままにしておくのを特別に認める
・いつもより長めに寝かしつけの時間を取って、本を読んだり音楽を聴いたり、静かに会話を楽しむ
・バランスの良い食事と適切な運動と休養をとらせる
・着る物や食べるものを選ばせて自分でコントロールできる感覚を感じさせる


3.ストレスを減らすための行動
・粘土遊び
・お絵かき
・楽器やおもちゃで音楽を奏でる。
・人形を作って、友達や家族の前で、人形劇をする。
・この災害に関するTV映像を見すぎないようにする。痛ましい映像を繰り返し見ると不安を増幅させます。
・親自身の感情的な反応を子供たちに気付かれないように。子供には、親自身が感情をコントロールしているように感じさせなければなりません。
・中学生以上の子供は、信頼できる大人と一対一、あるいは同じ経験をした小さなグループで、この災害に着いて話し合うことがとても有効です。また、金銭的なことや道徳的なこと、災害のもつ意味についても話すことが望ましいです。


4.これらのサインが見られたら専門家に相談しましょう。
・攻撃的な感情表出が続く
・学校での問題行動(ケンカ、学校をサボる、先生との口論、食べ物の取り合いなど)
・家族や友達から離脱する
・日常の生活や活動にもどるのが困難
・公共物破損などの違法行為
・自殺願望


 これからさらに大変な日々は続きますが、こうしたことの重要性を大事にすることが復興のためにも不可欠であることを友人の方にもお伝えください。
末廣有希子、和田耕治

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