1.津波堆積物(津波がもたらした土砂や泥)の性状は場所によって様々です。ヘドロ状の堆積物は有機物を含み、粒度が小さいため放置すると腐敗による悪臭の発生や乾燥による粉じん飛散が起こりえます。
2.津波堆積物には、海から運ばれてきたもの以外に、近隣の工場にあった物や貯蔵されていた化学物質なども含まれている可能性があります。
3.ヘドロを取り除く作業を行う際には、直接触れないように手袋をし、また直接吸い込まないようにマスクを着用します。洗浄や掃除のための機械を用いる際には、ほこりが舞い上がる可能性がありますので換気をよくし、できるだけ防じんマスクDS2(N95マスク)、ゴーグルを用います。
4.ヘドロを取り扱った作業をした後は手袋をはずして手洗いをします。特に食事の前には手洗いをこまめにします。
5.重機などを用いてヘドロやがれきなどを片付ける作業が行われている場には近づかないようにします。自宅の近隣などで行われる際には作業中は窓を閉めるなどでなるべく室内に入れないようにします。
6.ヘドロなどが粉じんを発生する場合には、水をまくなどすると一時的には軽減します。
7.個人では対応が難しいですが、ヘドロに対して紙シュレッダーくず、おがくずなどを用いた方法がこちらのサイトに示されています。(国立環境研究所津波堆積物への対応について(第二報)
http://www.nies.go.jp/shinsai/tsunami_sdm2_110406v2.pdf
8.ヘドロやがれきなどからの粉じんにより肺炎が発生するということが話題になっているようですが、呼吸器科医などへのヒアリングでは作業後にリスクがもともと高い高齢者などが細菌性肺炎を発症したというケースが多いようで、作業者などの事例は限定的のようです(今後もサーンベイランスなど必要)。粉じんを吸い込んだことが直接に肺炎の発症に影響したかは不明ですが、なるべくばく露を減らし、リスクの高い高齢者などはその他の作業をするなどしていただくとよいでしょう。
9.ヘドロの性状については分析業者に出せばある程度は分かるようですが、時間も費用もかかります。まずは人が触れない、近づかない、吸い込まないなどの対策が優先されます。
10.ヘドロは一般廃棄物として処理されています。自治体では一次集積場などに集めています。海洋に投棄することは法令で禁止されています。
和田耕治(北里大学医学部公衆衛生学)
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